「ハタチの一歩」 若者の海外体験支えて
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 1月27日、国土交通省の会議室で、観光庁と一般社団法人日本旅行業協会(JATA)共催による「日本人海外旅行者数2000万人達成祝賀会」が開かれた。新型肺炎が世間を騒がせる中ではあるが、海外への出国者数が昨年2008万人を数え、初めて政府目標の2000万人に達したことを関係者一同喜びあった。

 3000万人を超える訪日インバウンド数に比べると、日本人海外旅行者数についてのニュースが人目を引くことは少ない。旅行者数が1000万人を超えたのは1990年であり、30年近くかけて倍増したことになる。訪日インバウンドの急増に比べると遅々とした歩みではあるが、この間の日本経済の低迷、少子高齢化の進行等を考えれば、一概に批判はできない。

 ただし、「健全な2国間関係のためには、双方向交流が望ましい」ことや、「若年層の海外出国数やパスポート取得率が伸び悩んでいる」ことを踏まえると、日本人の海外出国について、インバウンド同様、官民一体でさらに取り組むべき課題であると考える。

 日本はこれからも、グローバルな関係の中で生き抜いていかなければならないが、若者が、スマホや自室のテレビで「日本礼賛番組」を見て現状に満足しているだけでは、日本の未来は心もとない。人間は「外の世界」を知ることで自国や自分自身を「相対化」して見ることができるし、若い感性で世界を知り、学んだ上で、自らや社会と向き合っていってほしいと思う。

 かかる問題認識のもと、海外旅行の機会に恵まれない若者の背中を押す試みとして、昨年、観光庁やJATA、航空・観光関連業界等、官民一体となった活動「ハタチの一歩」が始まった。「海外体験のない20歳の若者に対し初の海外体験を無料提供」する取り組みで、昨年秋、全国から応募した172人が台湾やマレーシア等9カ国・地域への海外旅行を初体験した。

 参加した若者の反応は期待以上であり、意義ある取り組みとして、今年も、さらに渡航先国・地域を広げて実施していく予定である。群馬から1人でも多くの若者にこういった機会を活用し、海外体験に挑戦してほしい。

 県や市、企業、団体等には、若者の海外体験を応援する枠組みを作ってあげてほしいと思う。新成人へのパスポート取得費用の一部援助、海外の学校との交換留学制度の拡充、文化・スポーツ交流事業等できることは数多くある。

 海外渡航には、当然、日本国内とは異なるリスクもある。しかし、潜在リスクに事前に備える心構えと準備、予期せぬ事態への対応力や経験等、リスクを超えるメリットを得られるのが海外体験である。「上州人は群馬を出ることで、故郷群馬の良さを再発見し、さらに成長できる」。自分自身の体験からそう信じている。



ジャルパック社長 江利川宗光 横浜市

 【略歴】1985年日本航空入社。執行役員人事本部長、中国地区総代表などを歴任し、2018年6月からジャルパック社長。前橋市出身。前橋高―東京外国語大卒。

2020/02/20掲載

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