邑楽町特産の効果 出会い生むキャッサバ
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 昨年秋、千葉県房総半島を直撃した台風15号、さらに県内にも大きな爪跡を残した台風19号と相次ぐ台風で、私たちが栽培するキャッサバは大きな被害を受けた。成長したキャッサバは草丈2メートル超にもなる。雨に加え強風で揺さぶられると、ぬかるんだ畑では草が根こそぎ倒れ、収穫を待つ芋(根)がボキボキと折れてしまった。

 折れたところから腐食が始まり、ぬかるんだ畑では収穫もままならない。収穫直前に2回も大きなダメージを受けため、キャッサバの単位面積当たり収量は例年の半分程度。栽培を始めて以来、最悪の成績だった。

 邑楽町のキャッサバ作付面積は右肩上がりに増えてきたが、天候に左右されるのは他の農作物と変わらない。台風が毎年襲う日本では、収量が安定しない懸念が常につきまとう。それでも、多くのブラジル人から「いつできるんだ」という熱いリクエストをもらうと、作らないわけにはいかない。昨年は収益性が悪く慈善事業のようだった。

 事業であるから収益性はもちろん大事だが、キャッサバを町特産とすることで得るものも大きい。最大の効果は、思わぬ人と人とのつながりを生み出すことだ。理化学研究所横浜キャンパスで昨年12月2日、第1回キャッサバ研究会によるシンポジウムが開かれた。登壇のお誘いをいただいたが、語る自信がなかったので、ご遠慮した。マスコミからの取材も相変わらず続いている。

 キャッサバ栽培では、収穫後の根元は容易に処理できず、残ってしまう。枝は畑にすき込めば腐敗、還元する。しかし、固くて太い根元はそうはいかない。山積みして乾燥した後、畑で焼却している(麦わら、稲わらの野焼きは禁止されているが、それ以外の残さ焼却は規制対象外)。

 その根元の山に目を付けた研究者が、何かに使えないかと根元を持ち帰っていった。後日、試験的にうま味調味料にしてみたと、成果物を届けてくれた。これで実用化の道が開けたわけではないが、こんな方法もあるのかと驚いた。蚕にキャッサバの葉を食べさせる実験をした研究者もいた。キャッサバの葉を好んで食べる人もいるので、蚕が食べたっておかしくない。

 キャッサバ芋を積極的に提供する飲食店の開拓にも力を入れている。町内の中華料理店「麺pao」、太田市飯塚町の和食店「杏」でメニューにキャッサバを取り入れてくれた。パン店やピザ店などにもキャッサバ芋のメニュー作りを働き掛けている。

 大泉高も栽培に興味を持ってくれた。一昨年の企業情報交換会を契機に、交流が始まり、すでにキャッサバ20鉢をお譲りした。それとは別に生徒たちは昨秋、キャッサバ畑で芋の収穫を体験した。この出会いがどんな芽を出すか。ちょっと楽しみでもある。



農事組合法人アグリファーム代表理事 大川則彦 邑楽町新中野

 【略歴】2014年からキャッサバ栽培に取り組み、17年にアグリファーム設立、代表理事。インテリア大川代表。邑楽町生まれ。桐丘短大(現桐生大短大)食物科卒。

2020/02/24掲載

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