新型コロナと欧州 店舗閉鎖、外出禁止も
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 「テレワークの朝は、目覚まし時計が鳴らないことから始まる」「テレワークになった時、みんなが最初に着手するのは、目覚まし時計をオフにすることだ」

 今月初め、テレワーク開始の打ち合せの時、昔気質の古参幹部の発言。反対? と思っていたら、「14世紀にペストがはやった時には城にこもった。それによりボッカチオの名作が生まれた。疫病が蔓延(まんえん)するときにこもることは世の習いだ」。高校の時、世界史で習ったボッカチオ作『デカメロン』のことでした。なるほどと感心しました。

 しかし、その後の爆発感染で、今となっては牧歌的に響きます。新型コロナウイルスの感染拡大が止まりません。欧州においては、ボッカチオを生んだイタリアが最多。感染者6万9176人、死者6820人(WHO3月25日発表。以下同じ)。死者の数は中国を上回ってしまいました。次がスペインで、感染者3万9673人、死者2696人。3番目がドイツで感染者3万1554人、死者149人。

 今月中旬、ドイツにおいては、食料品、薬局等生活必需品以外の店舗は閉鎖。レストランは、夜間のみ営業は禁止だったのですが、下旬からはそれもだめ。テークアウト、つまり、弁当のみの営業。外出もホームパーティーも自粛で、日常生活は制約され、閉塞(へいそく)感は高まるばかりです。他の欧州諸国も同様です。

 特筆すべきは、統一市場としてのEUの根幹であり、英国離脱の一因である「人の移動の自由」を停止したことです。欧州各国は国境を閉鎖しています。物の移動は認めていますが、国境は大渋滞です。

 これに対して日本は、感染者1046人、死者36人。ついひと月前までは、「日本は第二の震源地」などと言われ、欧米から批判され、日本からの出張者は肩身の狭い思いをしていました。今や、完全に逆転しました。

 日本は良くコントロールしていると言って良いでしょう。しかし、それが、政府の施策の故と考える人はいないのではないでしょうか。米国、シンガポール等が2月初旬には中国人の受け入れを全面禁止したのに、3月9日まで放置していたのですから。

 この成果は、ひとえに国民の努力によるところが大きいです。マスク、手洗い、咳(せき)エチケット、「密閉・密集・密接」を避ける等。これらの「行動変容」を基本的に受け入れ、習慣づけた。これに尽きます。

 しかし、終息はまだ先です。「集会の自粛」は継続すべきです。そして、欧米、今後感染が広がる南米、アジアといった「海外からの集中砲火」に備える必要があります。自国ファーストやむなしでしょう。欧州だって根幹的施策をやめてまで国境封鎖をしているのが現実です。(注 これは個人的な見解であり所属企業には一切関係ありません)



三井化学欧州総代表兼三井化学ヨーロッパ社長 森田徹 ドイツ・デュッセルドルフ

 【略歴】1980年現三井化学入社。国内工場や本社勤務の後、米国、メキシコ赴任を経て、2018年4月から現職。榛東村出身。前橋高―一橋大卒。

2020/3/27掲載

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