梅の学校 「栽培したい」心つなぐ
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 秋間梅林に関わりたいと思ったきっかけはおじいちゃんやおばあちゃんが一生懸命ウメを栽培している姿、接客している姿に心を打たれたからでした。ただ、関わっていくにつれ、簡単には解決できない問題を抱えていることに気がつきました。それは「後継者問題」「農業従事者の高齢化」です。

 農林水産省によると、2016年時点で65歳以上の農業従事者は全体の27.3%…。このままいくと、30年後には約40%が65歳以上になるという試算が出ています。

 秋間梅林も開園当初に比べると梅農家や、秋間梅林観光協会の会員は減少し、今の人数では50ヘクタールの梅園を守り、3万5000本に見合う梅林として維持するのはなかなか厳しくなってきました。平均年齢は約70歳であるということ、後継者のいない方が多いことも要因です。

 梅農家が集まって話をしていた際、「今、何か悩みはありますか」と聞いた時、1人のおばあちゃんが「若返りたいよ。若返ってもっとウメ栽培をしたい。無理な願いだいね」と言いました。思わず涙が出ました。どんなに歳を重ねてもウメ栽培をしたいと思う人がこの秋間梅林にはいる―、そのことがどんなことよりもうれしく感じたことを鮮明に覚えています。

 高齢化は避けられない問題かもしれませんが、この思いをなんとか形にすることはできないのだろうかと考え、3年前に「梅の学校」という取り組みをスタートしました。

 梅農家が先生です。参加者に「実際にやっている作業は学ぶ価値のあるすごい技術」ということを知っていただき、その生業を学んでもらいます。ウメもぎから始まり、草刈り、剪定(せんてい)、ウメの木の更新をするための苗木植えまで行うため、1年間が終わった時には梅の学校の生徒と梅農家の間で新たなつながりができ、ウメや秋間梅林に愛着を持ってくれます。

 梅農家として作業を継続できなくなってしまったとしても、「梅の学校」を通してウメを栽培したいと思っている人を育てること、おばあちゃんたちの意志や思いを受け継いでもらうことはできるのではないかと思いました。

 昨年からはウメの木1本を管理するのではなく、管理をすることができなくなってしまった秋間梅林の梅園を借り入れ、管理のサポートを行う「梅園オーナー制度」もスタートしています。

 高齢化だから、後継者がいないから、ではなく、何十年も経験を積み重ねてきたスペシャリストたちが輝ける場所はどこかを探すことがそれぞれの地域の未来を明るく照らしてくれるのではないかと思います。簡単に解決できないからこそ、やりがいがある。「梅の学校」が後継者育成、高齢化問題の解決になっていくよう、今後も続けていきたいと思います。



秋間梅林観光協会会員 福田青葉 高崎市中里町

 【略歴】安中総合学園高の実習教員を経て、2018年から現職。農作業に励みながら、営業担当として秋間梅林の魅力を発信する。高崎市出身。東京農業大卒。

2020/04/02掲載

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