認知症ケア 笑顔と笑顔で続けたい
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 世間における認知症に関する知識も広がり、「認知症」という言葉については知らない人はいないのではないでしょうか。しかしながら、「認知症にだけは絶対になりたくない」という声はまだまだあり、「認知症」について不安に感じている方も多いことが考えられます。

 認知症とは、脳がダメージを受けたために、独居生活には支援が必要な程度にまで認知機能が低下した状態と定義されます。認知症は、アルツハイマー型認知症が一番多く、他にレビー小体型認知症や血管性認知症、前頭側頭型認知症というように原因疾患が必ずあり、疾患そのものではなく総称です。

 アルツハイマー型認知症は、認知障害の進行とともに、これまでできていた生活上の行動や動作も徐々にできなくなっていきます。認知障害とは、記憶の障害や時間や場所がわからなくなる見当識の障害などを言います。これらが認知症の人を不安にさせてしまいます。

 認知症の人はいろいろなものがなくなる「生活の困難」の中で、自分で何とかしようと懸命に生きています。もし自分が認知症の人だったらどんな思いがするでしょうか。

 いろいろなことがわからなくなり、やろうと思ったことを失敗して自信を失う。家族からは注意されることが多くなる―。

 ご本人は何かがおかしいと思い始めます。認知症の人の立場に立って、その人の困難や気持ちを客観的に考えてみると、認知症をもつ方にどのように接したらよいかがわかると思います。

 私の働く内田病院(沼田市)は、県より認知症医療疾患センターの指定を受けており、認知症の拠点病院となっています。私たちが認知症ケアを進める際に大切にしていることは、本人の立場で考えていくケアを行うことです。

 認知症の人との会話からさまざまな気づきがあります。Aさんは「周りからおかしい、って言われるから、気になるの」と不安そうに言いました。Bさんは「だめだ、余裕がなくて」と歩きながら言いました。まずは本人に「何かお困りですか? どうしたいですか?」と尋ねます。ご本人の声にしっかりと耳を傾け症状や体調を推測します。

 認知症の人は、その時々で上手に言葉を選べないこともありますが、それを覚えていないことも多くあります。本人の思いに近づけることで、ケアもスムーズにいくことが多いのです。自分だったらどうしてほしいのかを意識して、自分がされたら嫌だと思うことは絶対にしないという姿勢を持ちます。そしてケアの最後は笑顔で楽しく話して相手にも笑ってもらいます。

 脳は鏡のように働きます。まずは笑顔で接し、笑顔で終わること、それが誰もが笑顔になれる認知症ケアの基本です。



内田病院看護師 小池京子 沼田市柳町

 【略歴】1996年から内田病院に勤務。子育てと病院勤務をしながら学校に通い、准看護師、看護師の資格を取得。2017年に認知症看護認定看護師となった。

2020/4/4掲載

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