地域を編集する 魅力掛け合わせ高める
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 ぼくの職業は編集者です。編集とは、「集めて編む」という行為。材料を集めて、それをいろいろと調整して、一つの形に編んでいきます。雑誌や書籍、新聞や映画、テレビ番組などをつくるときに必要な技術と言えます。

 ここ最近、編集の役割は大きく広がり、地域づくりやまちづくりの分野では、「地域を編集する」という言葉が生まれました。地域をおもしろくするために、編集の技術を使うのです。誰もがコツさえつかめば、立派な「地域の編集者」になれます。

 例えば、みなさんのお住まいの群馬県内の地域の魅力をいくつか挙げてみてください。ぼくは東京に暮らしていますが、高崎市出身ですので、「烏川、シンキチ醸造所、高崎白衣大観音…」などのキーワードが思い浮かびます。

 魅力をただ集めただけでは、編集ではありません。これらを組み合わせたり、省いたり、順序を入れ替えたりしてプロジェクトにしてみます。「オンラインで楽しもう!マウンテン&リバー&ビール・聖石橋さんぽ」といった具合にです(先にぼくが挙げた三つのキーワードが、聖石橋の動線上でうまく一直線につながることから着想してみました)。

 地域の魅力は、得てして「人のよさ」「空気のきれいさ」「野菜のおいしさ」といった王道の要素にどこもが平たく着地しがちですが、この編集の技術による掛け合わせなどを行うことで、地域の差異性が強みになって大きく現れます。

 そして、より上級の「地域の編集者」になると、地域の魅力だけでなく、地域の弱み(空き家や人が使わない公園など)までをも列挙して、魅力と掛け合わせてしまう高度な編集を行います。強さと弱さが融合することで、ふくよかな味が生まれるのです。

 ぼくはその上級の「地域の編集者」として、福井県大野市でイベント「FORESTIVAL」「水をたべるレストラン」などを手がけた長谷川和俊さんと「ミズカラ」のみなさん、岐阜県各務原市で「マーケット日和」を開催している長縄尚史さんと「かかみがはら暮らし委員会」のみなさんに注目しています。

 「地域を編集する」ために、ぼくが大切にしている編集ポイント10の質問を以下に記します。①わかりやすい内容ですか?②文脈がつくられていますか?③伝えたいことを絞りましたか?④個人の気持ちが込められていますか?⑤読む人の気持ちを考えていますか?⑥文章に頼りすぎていませんか?⑦自分の大好きな言葉や写真を使っていますか?⑧その土地への愛情が詰まっていますか?⑨未来を向いていますか?⑩おもしろい内容になりましたか?―。

 編集はフィールドでの実践のみならず、室内でも日々、磨きやすい技術です。よかったら、ご自宅で過ごされる際に練習してみてください。



ソトコト編集長 指出一正 東京都世田谷区

 【略歴】雑誌「Rod and Reel」編集長を経て現職。「関係人口」を提唱し、内閣官房や環境省の委員も務める。高崎市出身。高崎高―上智大卒。

2020/5/15掲載

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