自粛生活の中で これからの銘仙に期待
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 新型コロナウイルス対策で、3月下旬から自粛生活が続いています。最初は銘仙プランナーとして今、何が発信できるだろうか、と悩み焦りましたが、この異常事態を受け入れているうちに、日々の生活にも慣れてきました。

 出かけられない不自由さ、人恋しさより、家で好きなように時間を費やす楽しさを味わっています。手作りの銘仙マスクやポーチが、日を追うごとに増えて、部屋中にぎやかな銘仙色に染まっています。

 伊勢崎市文化会館のリニューアルオープンに合わせ、5月末に開催予定だった、9回目となる「銘仙ファッションショー」も1年先送りとなりました。

 3月末に市職員といせさき銘仙の会の杉原みち子さん、高木照子さん、文化会館の担当者と大ホール(1500人収容)で打ち合わせをしました。不安を抱えたまま準備しても、最良なパフォーマンスはお見せできないと、全員一致で決定し、これから1年をかけて伊勢崎銘仙の魅力を引き出すショーを考えていくことになりました。特に高木さんが制作するピンワークドレスの生地は、市内企業の下城株式会社の協力が得られることになって、期待が膨らみます。

 伊勢崎銘仙の功労者として一番先に名が挙がるのが、下城弥一郎(1853~1905年)です。県内中学校の道徳副読本の中でも「困難に立ち向かい乗り越える心~織物産業を守った人々」として功績が紹介されています。その志を継承しているのが同社の4代目となる下城郁雄さんです。

 東京造形大とも産学連携プロジェクトでタッグを組み、学生たちと16種類の新メイセン開発に取り組みました。このプロジェクトの集大成「これからメイセン―銘仙の源泉と変遷―」の冊子が私の手元にも届きました。

 表紙に本物の新メイセンの一部が貼ってある、美しい装丁です。伊勢崎銘仙が盛んだった頃の自由なデザインをほうふつとさせますが、それでいて懐古的では全然ない、新鮮なデザインに圧倒されました。概要は同大のHP(https://www.zokei.ac.jp/works/details/?id=2113)でも見られますが、やはり手に取って見てこそ、伝わるものがあります。市図書館で貸し出ししていますので、ぜひ、ご覧ください。

 リニューアルオープンした文化会館南側エントランスホール入り口の上には、型紙職人から現代アート作家として活躍した伊藤正義さんの刀刻作品の大作が、新たにはめ込まれました。外光を受けて、幻想的な世界が広がり、伊藤さんが追い求めた「伝統とモダン」にふさわしいモニュメントとなっています。

 コロナ明けに「これからメイセン」の展示が見られる未来があることを、切に願って自粛生活を継続しています。



伊勢崎銘仙プランナー 金井珠代 伊勢崎市波志江町

 【略歴】2016年に併用絣(がすり)を復活させたプロジェクトの呼び掛け人を務めた。1998年に伊勢崎市観光協会(現観光物産協会)臨時職員となり、21年間勤務。

2020/05/31掲載

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