引きこもり、うつ 自分の命を守っている
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 社会問題となっている“引きこもり(不登校)”や“うつ”などに関して、あなたはどのようなイメージをお持ちですか?

 きっと多くの方々は「自分の子どもが引きこもり(不登校)になったら大変だ。何とか学校に行かせたい」と思うでしょう。また、「自分の学校やクラスから不登校を出したくない」と思って一生懸命に指導してる先生方は少なくないと思います。さらに子ども自身も「学校に行きたい。友達と遊びたい」と思っているものと感じています。

 どうして引きこもりになっていくのかを考えてみると、「学校でいじめられた」「仲間外れにされた」「からかわれた」など、「嫌だな…」と感じる出来事の積み重ねがあるだろうと思い付きます。

 このとき、ゲートキーパーの立場としては、『嫌なことがあったから身を守っている状態』と考えます。周りから与えられたストレスに子どもの自律神経が反応して、安全の場に導いている状態、言い換えれば『自分の命を守っている状態』なのだと理解しています。

 うつに関しても、「オーバーワークで疲れてしまった」「ミスをみんなの前で指摘されて職場にいづらくなった」「周りから否定されている」などの状態から引き起こされるものと思います。

 私たちの身体は、風邪などのばい菌が体内に入ると、自律神経が反応して体温を上げて、ばい菌を殺そうとします。引きこもりもうつも、こうした身体の反応と同様に『見えないストレスから身を守っている状態』なのではないでしょうか。

 こう考えると、ひきこもりやうつに対処するとき、「どうしよう」「困った」などという今までの発想を転換していくことが求められると思います。

 私は子どもが引きこもりになった親に「あなたの子どもさんは素晴らしいですね。命を守っているんです」と伝えます。うつ状態の人が回復期になっていると「あなたはうつになれてよかったね。あなたは素晴らしい身体を持ってますね」などと伝えることが少なくありません。

 苦しくても見えない何かと身体が戦っている状態と理解できれば、もっとポジティブに捉えることができますし、周りの人に相談したり、助けを求めやすくなると思います。

 従来の考え方ですと、引きこもりの子どもを持つ親は「子どもを隠しておきたい」「親の責任で自立させたい」という気持ちが強くなってしまい、「どうしていいか」と困っていても、助けを求めることができなくなります。

 元官僚が自分の子どもを殺害してしまったショッキングな出来事がありましたが、もしかしたら認識を変えればこのような悲惨な事件を防ぐことができたのかもしれません。



NPO法人日本ゲートキーパー協会理事長 大小原利信 富岡市上小林

 【略歴】ITメーカーを2009年に早期退職し14年から現職。前橋、伊勢崎両市の自殺対策推進協議会委員を務める。20年3月まで安中総合高非常勤講師。高崎工業高卒。

2020/06/26掲載

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