「ありがとう」から 人は人の中で生きる
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 新型コロナウイルス感染症ではさまざまな支援策が国、市町村などから出ています。弊社も「人が人として幸せに暮らしていけるお手伝い」をコンセプトにしていますから、上野村商工会と一緒になって電子申請などの応援をさせていただいています。困った時はお互いさまだと思っていますから、食事も寝る間も惜しんで対応しています。

 今回の事態の本質は「OKグーグル」で解決できない新たな問題が発生したときに私たちの社会が脆弱(ぜいじゃく)になっているということです。ある意味ではインターネットという祈?(きとう)師がいなければ何も決めることができない私たちの思考は、縄文時代から進化していないのかもしれません。

 上野村ではお祭りなどを通じて技の伝承が行われています。私が住む野栗地区では9メートルにもなる櫓(やぐら)を組み上げてどんどん焼きをしています。村に来た当時は村人総出で半日かけて作り、30分ほどで燃えてなくなってしまうこのイベントに何の意味があるのかわかりませんでしたが、これは技の伝承の場でもあったのだとようやく気づけました。

 丸太の切り方、ロープの縛り方、足場のかけ方などの全てが生活の仕方の伝授なのです。だから土建屋さんにそれっぽい物を作ってもらい、ただ火を燃やすだけでは意味がないことなのです。知恵とは頭で考えるばかりではなく、体を通して学ぶこともたくさんあります。

 宅配便の人に除菌液を吹き付けるとか、給付金の手続きを自分ができないことに怒って事務局に罵声を浴びせるとか、身勝手な人のニュースが多いので、最近はニュースを見ること自体にうんざりしてしまいます。

 せめて自分がされて嫌なことは相手にしないようにすることができないのでしょうか。弊社では「ありがとうから始まるコロナ対策」を掲げ、まずはこちらから「ありがとう」を伝えています。

 コロナの対策は必要だと思いますし、これだけ手厚くしていただいたので、弊社も生き延びることができましたので強くは言えません。しかし、その財源は赤字国債なので、将来消費税が40%くらいになったとしても文句は言えないわけですが、おそらく多くの人は文句を言うことになるでしょう。地球温暖化の問題も本質的には今の自分さえ良ければ、後は後世の人たちが何とかしてくれるということに端を発しています。

 同じ釜の飯を食うと相手のこともわかるようになります。そうすると今だけ、自分だけみたいな要求に対し抑止力も働くことになります。我慢だとか根性が美徳だと言いたいわけではありません。人は人の中でしか生きられないので、どうやって関係性を築き直すかが今後の課題ではないでしょうか。縄文時代から大して変わらないのであれば、答えは過去にあります。



エムラボ社長 三枝孝裕 上野村新羽

 【略歴】群馬大工学部卒業後、研究職や非常勤講師などを務め、2011年に上野村に移住。村産業情報センターなどを経て、同社を起業した。栃木県佐野市出身。

2020/6/28掲載

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