観光土産の可能性 感動生む「本物」育てて
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 新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言が解除され、徐々に日常を取り戻しつつある昨今ですが、観光もまた「アフターコロナ」「ウィズコロナ」として、新たなスタイルを考えていかなければならない局面にあります。また、第2波などの懸念の残る状況下では、これまでより一層、経済効果について考えていく必要があります。

 観光消費による経済効果を高めるためには、旅行客を増やす、1人当たりの消費単価を上げる、域内調達率を高める、という三つの要素が重要ですが、旅行客を増やすことに重点を置きにくい今、1人当たりの消費単価を上げるということを重要視していかなければなりません。

 そこで注目したいのが、観光土産です。近年の観光旅行(とりわけインバウンド消費)は「モノ消費からコト消費へ」といった傾向にあったために、「コト消費」に注目が集まっていました。しかし、観光土産を中心とした「モノ消費」は、経済効果を高めるために大きな可能性を秘めていると考えるからです


 今回は「観光土産の可能性」についてお話ししたいと思います。

 観光における土産商品は、旅行者自らの旅の記憶を形に残す役割があるほか、友人や知人への贈り物として活用されるため、多くの人の手に渡るチャンスがあります。気に入ってもらえれば、リピート購入が見込めるだけでなく、リピート訪問のきっかけになるなど、連鎖的な消費につながる可能性があります。観光地の独特な環境は消費者の購買行動を促すため、販売のチャンスをつかみやすいことも特徴です。

 「自治体アンテナショップ実態調査」(一般財団法人地域活性化センター)によれば、2019年度は東京都内における店舗数が過去最高の79店舗で、販売戦略の強化によって売り上げを伸ばした店舗も増加傾向になっています。ホームページや店内の多言語化、SNSの活用、キャッシュレス決済の導入など、多くの課題への取り組みが成果を出しているとの結果も見られました。

 オリンピック開催を前に、インバウンド需要の高まっていた時期でもありましたが、まだまだ「モノ消費」にニーズがあることがうかがえます。観光土産の販売で収益を上げるためには多くの調査や整備が必要とはいえ、地域の本物を伝える最高の手段でもあるため、ブランディングの観点からも重要な取り組みといえるでしょう。

 消費単価とは、お客さまがどれだけ感動したかという指標であり、光を考える上での大前提です。

 「いかに売るか」ではなく、「いかに感動してもらうか」という思考のもと、質の高い商品やサービスが生み出されることを期待しています。




グローバル観光戦略研究所研究員 大井田琴 高崎市石原町

 【略歴】民間企業、下仁田町観光協会を経て現職。同協会で日本版DMOの立ち上げに携わり、インバウンドの市場調査や国内外向け広報も担った。二松学舎大卒。

2020/7/7掲載

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