親の欲求×子の欲求 対立解く「勝負なし法」
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 皆さんは、親の役割とは何だと思いますか? 親業・ゴードンメソッドを開発したゴードン博士は「自立心があり、自分の行動を自分で決定し、責任をもちながら、他の人と協調して生きる人間を育てること」と、言っています。

 そのためにゴードンメソッドでは、さまざまな方法が用意されていますが、以前紹介した「能動的な聞き方」「わたしメッセージ」などもその中の一つです。

 今回は「対立」について考えます。対立の解き方の中にも自立した子どもに育てられるか否かの鍵があります。ゴードンメソッドでは、対立を「欲求の対立と価値観の対立」の二つに分けています。

 一般的に対立は、誰かが勝って誰かが負けるという「勝負あり」の解決が多いようです。このタイプの親と育つ子どもをゴードン博士は次のように分類しています。

 勝者型:親がいいと思う形で対立を解決し、親が勝ちます。子どもは強く反発するか親の顔色をうかがうかの両極端に分かれるようです。

 敗者型:子どもの欲求不満や対立の起こるのを避けて、子どもに勝ちを譲ります。子どもは自己中心的でわがままになりがちです。

 動揺型:勝者型と敗者型の間を揺れ動くタイプで厳格と寛容を繰り返します。子どもは混乱してしまうでしょう。

 どの型も負けた方が勝った方に怒りの感情や反発を感じることが考えられます。なぜなら、どちらも負けたくないからです。そこで、ゴードン博士は、親と子の「欲求が対立」した時の対立の解き方として、親と子双方が満足する解決策を探す「勝負なし法」を提唱しています。

 まず、準備段階として、親は子に「お互いに受け入れられる解決策を一緒に探してみないか」と参加を促します。そして、6段階のステップを踏みます。

 (1)わたしメッセージと能動的な聞き方を使って、何についての対立か、問題をはっきりさせる(2)いろいろなアイデアを出し合う(3)アイデアを一つ一つ検討(4)親子が合意した解決策を決定(5)解決策を実行(6)やってみての結果を評価―となります。特に(3)(4)の段階で「どちらかがバツのものは取り上げない」というところが重要です。

 このように親と子が一緒になって考える過程から、自分で考える力や判断力が養われたり、相手の気持ちを理解し思いやる心が育ったりするでしょう。また、親が言うからするのではなく、自ら決めたことを実行するという態度が培われることでしょう。まさに自立した子どもの姿と言えるのではないでしょうか。

 問題を解決する際に、民主的に解決する方法を家庭で体験できます。対立があっても建設的に解決できるという自信と経験は、子どもが自立していく上での大きな力となることでしょう。



親業訓練インストラクター 小柴孝子 高崎市中尾町

 【略歴】高崎市教育センター所長や小学校長を歴任。2015年に退職後、親業訓練インストラクターとしてセミナーを行う。同市子育てなんでもセンター教育相談員。

2020/7/8掲載

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事