千代田町の取り組み 機能複合化で施設数減
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 「鶴舞う形の群馬県」の首の部分に位置するのが、水と緑豊かな千代田町です。

 江戸時代には利根川を利用した江戸への水運の拠点として繁栄した歴史があり、今でも「赤岩の渡し」が残っている、古き良きものを大切に育む町です。その町で、ある公共施設が道路拡幅に当たってしまうことになりました。そこで、その施設の機能を別の既存公共施設に移転し、複合施設として活用するプロジェクトが動きだしました。

 このプロジェクトに参画していることから紹介します。

 移転先となる公共施設は、1995年竣工(しゅんこう)の総合福祉センターで、道路拡幅により移転する公共施設は、85年竣工の保健センターです。

 総合福祉センターには、老人福祉センターと児童センターおよび地域活動支援センターとしての福祉作業所が併設されています。そこへ町民の総合的な健康づくりを推進するための保健センター機能をさらに加えることとなりました。

 母体となる総合福祉センターは竣工後25年を経過しているため、躯体(くたい)の劣化調査により、健全度の確認を行いました。長寿命化に耐えられるとの結果が得られ、保健センター移転が可能となりました。

 建物は躯体の健全性とメンテナンスの両輪で維持することができます。総合福祉センターは、うまく管理していたことで、さらなる複合化の実現が可能となったのです。

 プロジェクトは今年秋、工事着手の予定です。これまでの歩みを振り返ると、庁内の検討委員会を立ち上げ、2016年に策定された公共施設等総合管理計画の中で示された「長期的な視点による施設の更新・統廃合・長寿命化による財政負担の軽減・平準化、また公共施設等の適正配置」の方針に、プロジェクトは則しています。

 プロジェクトが一人歩きしないように、プロポーザル手法を導入し、広くより良い提案を求めるとともに、外部の学識経験者を審査員に加え、公平公正に設計者が決定されました。

 全国の多くの自治体が直面している財政難に加え、公共施設総量の多さから生じる維持管理の困難性は、自治体経営を圧迫しています。その中で、千代田町はこの機に、施設総量を削減しながら、町民の利便性を高める意味で、保健・医療・福祉の拠点化を図るかじ取りを行いました。また、この施設は子どもからお年寄りまで集う複合施設であり、町のコミュニティーづくりにも一役買っています。

 全国の自治体で策定された公共施設等総合管理計画が、いわゆる絵に描いた餅にならないための実践を進める千代田町の行方を見守りたいと思います。

 施設完成の暁には千代田町総合保健福祉センター(仮称)を訪れてみてはいかがでしょうか。



県建設技術センターFM室長 高橋康夫 前橋市岩神町

 【略歴】2015年から現職。地方自治体の施設マネジメント支援、技術支援に携わる。1級建築士。元前橋市建築住宅課長。前橋工業高―足利工業大(現足利大)卒。

2020/7/29掲載

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