想像から創造へ 絵本から創られる世界
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 人生100年時代と言われる昨今、私たちの価値観は日々の暮らしとともに大きく変わり始めています。働き方や生き方も多様化していく中で今後、どのように考え、どのように行動することで幸福な状態を維持することができるのでしょう。自身の幸福度を最大化するためのものとして、私は本に向き合うことの重要性を強く感じています。

 本は人が記したものだからこそ、人の感性に触れることができます。同時に、内容を通じてその時代や瞬間を体感することも可能にします。人々が築き上げた英知や文化を伝承するものが本であり、私にとって学びや発見をもたらすだけでなく行動の源泉ともなっています。本は人々を次なるステージへ導くという大きな役割を有しています。

 もう一つ、本の持つ大きな役割があります。それは“想像性”を生み出すための役割です。本から得る学びが他者の知見から成るものだとすれば、本から得る想像性は自身の感性から成るものです。

 その原点は幼少期に触れる絵本の中に存在していると感じています。文字も言葉も正しく理解できないからこそ、絵本の質感・色・主人公の表情から何かを感じ、想像力を膨らませながら自身の世界観を創りだしていたのだと思います。

 非現実的なこともかなうと信じ、素直に表現していた幼少期の感覚がどれほど重要であったのか、大人になって初めて気付かされました。つまり、そのストーリーの本当の作者は私たち自身であったということでもあります。

 今日の社会で直面する出来事は、文字のない絵本の世界とも言い換えることができます。もし私たちに幼き頃のような発想力があったら、現代社会の中においても自身の理想や夢を描き続けることができるのかもしれません。

 私たちは想像よりも現実の世界を生きています。するといつしか、瞬間から得るインスピレーションを自身に転換する感覚を失い、感じる心すら鈍っていることに、息苦しさにも似た違和感を覚えることがあります。

 ジュール・ヴェルヌは「人間が想像できることは、人間が必ず実現できる」と説きました。子どもたちに夢を持つことの大切さを語る前に私たち大人がまず、自身の人生に想像力を働かせなければならないと思うのです。人と本の関係は恒久的でありリベラルアーツの根底となるものです。時代とともに人間自体の行動様式が変わる中で、改めて本の大切さや本がもたらす意義を再確認する必要があるのではないでしょうか。

 脳科学や先端教育も、つまりは想像性からなる創造性に起因するものです。私たち大人がそれを理解し、子どもたちが想像力と向き合う環境を提供することでワクワクするような社会の景色が創られていく気がしています。



ソウワ・ディライト広報室室長 柴田美里 高崎市飯塚町

 【略歴】電気工事や地方創生活動を展開する同社で広報室長を務める。サイボウズ経営塾メンバー。2018ミスワイン日本大会グランプリ。共愛学園前橋国際大卒。

2020/07/31掲載

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