取れたての枝豆 お客さん都合の農業へ
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 5月の連休前後にキャッサバの苗を植えて、はや3カ月が経過した。今年は例年と比べ梅雨の期間が長く、日照時間が短かった。熱帯で栽培されてきたキャッサバは、日照時間が長い方が成長具合も良いとされており、少々心配ではある。様子を見たいのはやまやまだが、何せキャッサバは土の中。葉の茂り具合は特段問題なさそうなので、何とかすくすく育ってもらいたいものだ。

 これからキャッサバは収穫前のいわゆる肥大期に入る。大きくなるこの時季に、栽培する上で大切なポイントは肥料のやり方だ。どの肥料をどれだけ与えるべきなのか。今回は畑のいくつかのエリアを区切って、肥料の配合を変えて成長の違いを調べてみたいと思っている。

 7年目を迎えたキャッサバ作りではあるが、いまだに明確な答えは分からず、手探り状態が続いている。ただ、試行錯誤を繰り返してベストの栽培方法を編み出すのは、生産者としてやりがいの一つでもある。キャッサバの販売を今か今かと首を長くして待ってくれているお客さんをがっかりさせないためにも、妥協せずに真摯(しんし)に向き合っていきたい。

 7月中旬、枝豆の収穫が始まった。今年はやはり日照不足が影響しているのか、風味と甘みが若干薄いように感じるが、十分おいしく仕上がった。枝豆は昨年初めて栽培したのだが、前もってお湯を沸かしておき、取れたてをゆでて食べたらめちゃくちゃおいしかった。早速、アグリファームの近くにある飲食店「麺PAO(メンパオ)」で出したら、おかわりが続出したそうだ。

 一般的な飲食店の「お通し」で出てくる枝豆は冷凍物が多い。スーパーマーケットでも冷凍物が多く置かれている。裏を返せば、多くの人々が「冷凍物しか食べたことがない」ということになる。取れたての新鮮な枝豆のおいしさを知らないなんて、あまりにもったいない。

 この場を借りて、日本の農業の在り方に直言させていただく。今こそ「生産者都合」で成り立っている現状を見直してもらいたい。市場に出荷する際は「キロ何円」で売り上げが立つので、農家は同じ野菜を作るにしても重量が稼げる品種を選び、また日持ちのする野菜が好まれるため作っているのが現実なのだ。このような生産者や市場の都合で作られた野菜が果たしておいしいと言えるだろうか。お客さんが喜ぶのだろうか。

 私は生産者都合から「お客さん都合」に変え、本当はおいしいのに埋もれてしまっている野菜をどんどん世の中に紹介していきたいと本気で思っている。アグリファームの存在価値はそこにこそあると信じているし、異業種から農業に参入し、しがらみが一切ない私に課せられた役割だと考えている。



農事組合法人アグリファーム代表理事 大川則彦 邑楽町新中野

 【略歴】2014年からキャッサバ栽培に取り組み、17年にアグリファーム設立、代表理事。インテリア大川代表。邑楽町生まれ。桐丘短大(現桐生大短大)食物科卒。

2020/08/04掲載

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