群馬と横浜をつなぐ 「シルク電車」に乗って
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 新型コロナ出現後、初めて開催される大型展示に世界の注目が集まる中、ついに始まりましたヨコハマトリエンナーレ2020「AFTERGLOW 光の破片をつかまえる」。週1でパフォーマンスをしに横浜美術館へ通っています。シルクを運ぶためにつながれた高崎線、乗り換えなしの横浜行き電車の存在のありがたみをかみ締めつつ。

 今回のトリエンナーレのアーティスティック・ディレクターでインド出身の3人組、ラクス・メディア・コレクティヴは光を中心テーマとして扱っています。中でも下村脩先生の蛍光タンパクを背景とした本を展覧会の核となるソースブックの1冊として掲げていたのはすごい偶然。その蛍光タンパクで光るシルクを使っている私の作品はテーマにぴったりとのことで展示に取り上げてくれたのです。

 この蛍光シルク、ブルーライトを照射し、オレンジ色のアクリルを通さないと光って見えないという、今の時点では光らせるのに苦労する糸で、彼らが去年昼間のギャラリーで見た私の作品は光っていない、薄いグリーンがかった色付きの糸という状態でした(今の時点と申しますのは最近、県の絹主監、岡喜久男さんから開発途上の蛍光シルク、アザミサンゴから抽出されたアザミグリーンだと普通の光でも少し光って見えるとの話を伺ったからです)。

 オレンジ色のアクリルと一言で言っても光が見えるオレンジの濃さ・色味が限られていて、実験に次ぐ実験。通常楽しい過程なのですが、展示1カ月前を切った時点では少しも面白くありません。去年の群馬県立近代美術館ではいろいろなアクリルを日本各地から取り寄せて実験した中、徳島県で作られているゴルフバッグ用のネームタグのオレンジアクリルが奇跡的によく見えたので、観客一人一人に配り見ていただきました。

 が、このウィズコロナ時代、観客に使い回しのものを配るのは避けたいとの美術館のご意見。ごもっともです。日本中でコロナ対策のアクリル板不足の中、広島に在庫があった! という朗報が入ってきたのが開催2週間前。無事オープン前に設置作業が終了致しました。

 しかしながら一番見せたかったラクス・メディア・コレクティヴは光ったところ、画像でしか見られていないんです、インドからの入国、国が許可していないので。インド内ですら家から出られず3人組、会えていないという状態だそうです。海外アーティスト50組も来日できずリモート操作での設置準備、学芸員さん方の疲弊はこちらにも伝わりましたが、この閉塞(へいそく)した社会の中、今見るべき素晴らしい展覧会となりました。

 10月11日まで、「わからないを楽しむ」展覧会とのガイドの言葉を信じて、コロナが落ち着きましたらぜひ皆さま見にいらしてください!



現代美術作家 竹村京 高崎市上中居町

 【略歴】東京芸術大―同大学院修了後、ベルリンに留学。文化庁芸術家在外研修員として2015年までベルリンを拠点に活動。帰国後、高崎市移住。東京都出身。

2020/08/06掲載

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