グローバルに伝わる 狭く考えて作ること
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 「Think globally, act locally」という言葉があります。「広く考え、身近なところから行動しよう」という意味合いで、環境や貧困の問題、教育、ビジネスなど幅広い分野で用いられている言葉です。

 物事を俯瞰(ふかん)的に捉えるアプローチは、狭く考えていると気づけない問題や解決策が見えてくるので、とても大切かと思います。ただ、広く考えることに集中するあまり、行動が効果的ではないものになってしまうことが意外にもあるのです。何事もバランスや優先順位が大切なのは言うまでもありません。

 イベントをより魅力的にしたり、クリエーティブなアプローチが求められたりする場面では、「Think locally, act locally」がより効果的に働くことがあります。今回はそんな事例をシェアさせていただきます。

 最近、あるグローバル企業のプロジェクトにおいて店舗デザインの一部を担当しました。そのプロジェクトでは、日本チームの思いや狙いが反映されたコンセプトをもとに、顧客を惹(ひ)きつけるプランがとてもよく練られていました。プロジェクトが進んでいく中で、アジア地域や本社の意向の反映が求められ、プランは軌道修正されていくことになったのです。

 結果として、デザインはよりその企業のイメージに沿ったものに仕上がったのかもしれません。しかし、当初は「Think locally」した上で、「ワクワクするにぎやかなデザイン」を目指していたのに、途中から「Think globally」の結果である「分かりやすいスッキリとしたデザイン」が求められることになったことは、デザインチームをとても戸惑わせました。

 このようにデザイン一つとってみても、「何を感じてもらいたいか、体験してもらいたいか」ということを、グローバル目線で考えるか、ローカル目線で考えるかで選択肢や判断は大きく変わってきます。ただ、前回も「たった一人に向けたメッセージが、実は多く人に届くものになる」と書いたように、私はより具体性・独自性のあるアプローチを選んでほしかったと思っています。

 グローバル目線で考えられたイベントやデザインは、多くの人に分かりやすく受け入れられやすい安全なアプローチである半面、差別化が難しく記憶に残らない体験になってしまう側面があります。

 グローバル化が進み情報の伝達が早い社会だからこそ、ローカルに考え、面白さやユニークさを掘り下げることで、そこでしかない付加価値が生まれていくのではないでしょうか。ローカルな魅力がグローバルな注目を集める、そんなイベントをぜひ企画したいものです。



イベントプロデューサー 進藤惟史 東京都台東区

 【略歴】20歳で渡米し、東海岸で5年半を過ごす。20代半ばで帰国し、展示会の企画運営会社を経て現職。藤岡市出身。高崎経済大附属高―ニューヨーク州立大卒。

2020/08/18掲載

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