2学期前にできること 「私も一緒に考えます」
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 今年の夏休みは新型コロナの影響で短縮される学校が多くなっています。「2学期の初めに子どもの自死が多い」という例年の傾向がありますが、どのような背景があるのかを考えてみたいと思います。

 子どもの頃から「夢・目標を持ちましょう」と言われます。「ゲームクリエーターになりたい」と発言する子どもに、「それじゃ今、何している?」と質問すると「ゲームしてます」と答えが返ってくることがあります。

 ゲームを扱うスキルは上がります。ですが、現在勉強している国語や算数、理科、英語などが将来のゲームクリエーターに必要なのか? 言い換えればゲームクリエーターの職務分析を子どもと大人が一緒に調べたり話し合うことが教育なんだと思います。プログラミングには英語や数学、理科が必要だし、説明するには国語のスキルも必要だと理解を促すのです。

 子どもは現在の課題を認識することができ、目の前の勉強に自主的に取り組めるようなります。子どもに関わる私たち大人が「今何をするべきなのか」を子どもと一緒に考えていく姿勢が大切のように思います。言い換えれば、夢・目標と現在の課題を明確にするということです。

 1学期に不登校の生徒がいたとき、先生や親は「2学期から学校に行こうね」などと期待して励ます場合があるでしょう。一番学校に行きたいと思っているのは不登校で苦しんでいる生徒さん自身と思いますから、生徒自身も「2学期から学校に行きたい」と頭の中でシミュレーションを巡らしているかもしれません。ただ、この「2学期から学校に行く」という夢・目標だけだと苦しく感じてしまう生徒さんが少なくありません。

 相談室に来たIさん(50歳代男性)の例を紹介します。Iさんは仕事繁忙でうつ病を発病して休職になり、「早く職場復帰したい」と少し焦っていました。約1年たって主治医と産業医から「〇日から復帰しましょう」と伝えられて喜ぶはずですが、様子が違いました。相談室に来て「〇日に向かって毎日毎日死刑台の階段を上っているような気持ちになっている」と苦しい気持ちを打ち明けてくれたのです。

 職場復帰という夢・目標だけ与えられると苦しくなるものと思います。話し合う中でIさんは「少し焦ってましたね」と現状に気付いてくれました。その後、運動したり早起きしたりしてスムーズに職場復帰することができました。もちろん職場の受け入れ態勢の準備も必要になります。

 1学期不登校になっている生徒さんに関わる先生も親も友達も皆すべてが「今何ができるか、一緒に考えよう」という姿勢を持ちたいものです。「みんながゲートキーパープロジェクト」を進めることが大切と思います。



NPO法人日本ゲートキーパー協会理事長 大小原利信 富岡市上小林

 【略歴】ITメーカーを2009年に早期退職し14年から現職。前橋、伊勢崎両市の自殺対策推進協議会委員を務める。20年3月まで安中総合高非常勤講師。高崎工業高卒。

2020/08/21掲載

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