コロナ禍と歴史博物館 模索する新たな発信
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 県立歴史博物館で開催の「第101回企画展 綿貫観音山古墳のすべて」(9月6日で閉幕)は、新型コロナウイルス感染症対策のため、関連イベントの大幅な縮小を余儀なくされました。

 令和に改元された年と重なった第100回企画展(2019年秋開催)までは、企画展開催となれば、博物館を会場とした研究者による講演会や学芸員による展示品解説など(オフラインイベント)を開催し、大変好評を博しておりました。

 第101回企画展は、高崎市綿貫町の綿貫観音山古墳出土品の国宝決定を記念するということもあり、以前にも増して関連イベントの準備には力を入れていましたが、冒頭にも述べた通り、オフラインイベントとしてはほとんどが中止となったわけです。

 しかし、「綿貫観音山古墳やその出土品の歴史的価値をより深く知っていただきたい」という当館の使命ともいえる思いに変わりはありません。そこで、これらに代わるものとして、講演会や展示品解説をインターネット上で発信すること(オンラインイベント)にかじを切りました。

 これまで、歴史博物館で聴講いただいた講演会や展示品解説は、ライブ感たっぷりです。講師の貴重な講話はもちろんのこと、講師の姿、息遣い、間のとり方など、その場でしか味わえない醍醐味(だいごみ)が満載で人気イベントです。

 しかし、その人気ゆえにご不便もおかけしていました。それは定員です。当館の講演会場の定員は144人。定員に上限があるため、主催者側としても涙をのんでお断りすることも多々ありました。加えて日程です。「聴きたいけど、その日は…」、私も他館のイベントでそうした思いをしたことが何度もあります。

 一方、オンラインイベントはこの2点を解消できます。定員は無限。そして、視聴環境さえあれば、希望される方のご都合に合わせていつでも聴講可能です。もちろん、メリットばかりではありません。IT環境の整備や通信料のご負担など、オフラインイベントでは心配無用だった部分があることも事実です。

 コロナ禍の中で、これまでにない社会環境が継続していくであろう現在、当館は大きな転機を迎えています。ですが、そんな中でも、発信し続ける博物館であり続けるために、オンラインイベントは有効な方法の一つだと感じます。

 オンラインとオフライン。双方のメリットを最大限に生かし発信しつづけること、その模索は続きます。

 なお、当館のオンラインイベントは、動画投稿サイト「ユーチューブ」の県公式チャンネル「tsulunos(ツルノス)」にて、配信しています。ぜひともご覧ください。



県立歴史博物館学芸係長 深沢敦仁 高崎市上中居町

 【略歴】県埋蔵文化財調査事業団や県教委文化財保護課で文化財保護行政に携わり、2016年から現職。同志社大―専修大大学院博士後期課程修了。博士(歴史学)。

2020/09/11掲載

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