地域移行を考える 令和流の部活動創ろう
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 文部科学省は9月1日の第4回学校における働き方改革推進本部の会合で、休日の部活動を2023年度以降、学校から地域に移行すると発表した。「部活動は、学校教育の一環として行われる活動であるが、必ずしも教師が担う必要のないものであることを踏まえ、休日に教科指導を行わないことと同様に、休日に教師が部活動の指導に携わる必要がない環境を構築すべきである」というのだ。

 いわゆる過労死ラインを超えて働いている中学校教師が約6割いる(文科省調べ)ことを考えると妥当な策といえる。できるところからの部活動改革、まずは休日をというわけだ。「休日の部活動における生徒の指導や大会の引率については、学校の職務として教師が担うのではなく地域の活動として地域人材が担うこと」となっており、教員に代わる指導者の確保が急務となる。

 部活動大好き教師(BDK)から反対の声が聞こえてきそうだが、教師が休日に全く関与できなくなるのかというと、そうではない。「地域部活動において休日の指導を希望する教師は、教師としての立場で従事するのではなく、兼職兼業の許可を得た上で、地域部活動の運営主体の下で従事することとなる」となっていて、希望する教師が活躍する道も残されている。

 今回の案は働き方改革としては意義があるが課題もある。第一に生徒にとっては今よりも過酷な活動が課せられないという保証がないことである。休日の活動が学校以外だからといって、学校の部活動が過酷にならないよう歯止めが必要である。

 第二に保護者にとっては送迎や活動費の負担が増える可能性が高い。いかに今まで教員の献身的な犠牲(ただ働き)の上に成り立ってきたのかの裏返しだが、受益者負担をどうするか、自治体の支援などが懸案となる。

 第三に学校にとっては休日の運営主体との情報共有、連携が求められることになり、負担が増える面もある。

 第四に地域にとっては運営や指導にあたる人材の確保が求められる。特に指導者の質の担保は必須条件である。この点は地域の実施主体に丸投げするのではなく、教育委員会が管轄するような形が構築できないか。

 これらの課題を克服して、教員の熱意の差や異動に影響されず、全ての人々にとって受け入れられる仕組みづくりを目指す。すると、その先には平日の活動の地域移行も視野に入ってくるだろう。昨秋の国会の付帯決議では「部活動を学校単位から地域単位の取組とし、学校以外の主体が担うことについて検討を行い、早期に実現すること」とされているからである。

 各地域の関係者による知恵の結集と連携・協働で令和スタイルの新しい部活動を創るチャンスである。



学習院大文学部教授、日本部活動学会副会長 長沼豊 東京都大田区

 【略歴】学習院中等科教諭、学習院大准教授などを経て同大教授。2017年に日本部活動学会を設立し、会長就任。現在は副会長。東京都出身。大阪大大学院博士課程修了。

2020/9/16掲載

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