笑顔、感謝、やりがい 出会い生むキャッサバ
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 7年目を迎えたキャッサバ作り。9月の4連休に今年初めての収穫に取り組んだが、例年通りの生育ぶりにホッと胸をなで下ろした。キャッサバはまだまだ土の中で成長を続ける。メインの収穫は10月なので、1カ月程度はスタッフとともに収穫で忙しい日々を送ることになりそうだ。

 昨年は10月中旬に台風19号が襲来し、多くのキャッサバが根元から折れてしまった。キャッサバは大変デリケートな作物で、一度茎が折れてしまうと、すぐに黒ずんで売り物にならなくなる。一昨年、昨年と台風で収穫量が想定の半分程度になってしまった。これからという段階で、掘って捨てないといけないというのは、生産者からしたら本当につらい。

 今年も9月、台風12号が関東地方に上陸する可能性があり肝を冷やしたが、当初の見通しよりも東寄りに進路を変えたため、直撃は免れた。何とか台風が来ないことを祈るばかりだ。

 事前にフェイスブックで告知したため、邑楽町の畑の直売所には販売初日と2日目に50~60人のお客さんが買いに来てくれた。まだ9月の収穫ということもあり、キャッサバ自体は小さいのだが、「待ってました」「やっと食べられる季節になったね」と大喜びのブラジル人から声を掛けられ、こちらも思わず笑顔になった。

 近くの外国人向けスーパーマーケットではベトナム産の下処理されたキャッサバが安価で売られているし、アグリファームのキャッサバは皮をむいて、下ゆでしてと手間がかかる。それでもうちを選んで買ってくれるお客さんがいる。本当にうれしいし、ありがたいことだ。

 時々、業者と思われる人から「500キロ欲しい」などと連絡が入ることがあるが、基本的にお断りしている。なぜかといえば、お客さんの顔が見えないからだ。考え方によっては、業者にまとまった数量を販売した方が売り上げが見通せるし、簡単ではある。しかし、私はお客さんの顔が見えない商売は楽しく感じないのだ。

 顔が見える商売はうそがつけないし、ごまかしが利かない。正直大変なことではあるが、一度信頼を勝ち取ったら毎年買いに来てくれ、笑顔で「今年もありがとう!」と喜んでくれる。この瞬間を味わうのが楽しく、やりがいにつながっている。

 販売は11月中旬まで毎日行う。売り切れ次第終了となるので、事前に予約を入れてほしい。

 キャッサバを通して、人間関係の構築ができているのを実感する。今年は新型コロナウイルス感染症のため、お客さんの生活に悪影響が出ていないか心配したが、今のところ大丈夫との声を聞いて安心した。

 出会いを生んでくれる作物、キャッサバに感謝。



農事組合法人アグリファーム代表理事 大川則彦 邑楽町新中野

 【略歴】2014年からキャッサバ栽培に取り組み、17年にアグリファーム設立、代表理事。インテリア大川代表。邑楽町生まれ。桐丘短大(現桐生大短大)食物科卒。

2020/10/09掲載

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