群馬高専から宇宙へ 衛星開発、果敢に挑む
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 これまで、主に群馬高専における超小型衛星開発について執筆してきたが、その衛星開発も佳境を迎えている。先日、群馬高専において、各拠点で開発された構成品の集約と組み上げ作業が行われ、それなりに見栄えのある形態となり、機能確認のための各種試験を実施する段階に移行している。

 衛星開発では、いきなり完成品を作りあげるわけではなく、段階を変えながら、少しずつフライトモデルと呼ばれる完成品に近づけ、各種実験を通じて問題箇所をあぶりだしながら開発が進められる。

 超小型衛星は、その多くが大学等の学術研究機関で取り扱われており、そのためか、メーカー等による競争を伴う秘匿な開発と異なり、比較的、情報の開示や共有化がなされている印象を受ける。

 現代の情報化社会では、欲しい情報を多量に瞬時に得ることができるが、このような開発の場において、ともすると、情報収集や技術転用に重点が置かれ、斬新な発想や思考を伴う革新的な技術創出への意識が希薄になる恐れがある。

 インターネットが初めて登場したとき、わたしは学生だった。その当時、情報収集のために、幾度となく図書館に通い、何時間も滞在し、その結果、ほとんど有益な情報を得られず、落胆して帰路についた記憶がある。たやすく情報を得られる今より、思考や移動の機会は多かった。

 世界発のCubesatと呼ばれる超小型衛星の開発は、わたしが大学院生だったころ、当時、所属していた研究室において、わたしの恩師や後輩たちによって達成された。情報も乏しく未知な事象ばかりの中、初代となる超小型衛星のパイオニアとして、思考を巡らせ、悩み抜き、相当な苦難を伴ったことだろう。

 現在、われわれが超小型衛星の開発を進められるのは、こうした先人たちの偉業のもとに成り立っていることを忘れてはならない。

 話は少し変わるが、先日、うれしい知らせが二つ届いた。文部科学省の宇宙人材育成プログラムの公募に3期連続で採択され、また、次の2号機(KOSEN-2)となる超小型衛星の打ち上げプロジェクトにも採択された。1号機(KOSEN-1)と同じ革新技術実証プログラムとしての採択である。

 2年連続で2機の超小型衛星を打ち上げることになる。革新技術実証衛星の名に恥じない果敢な挑戦にしていきたい。

 わたしが担当する最後のコラムとなります。想像するよりもはるかに多くの方に読まれ、多くの反響をいただきました。これまで、読んでいただいた方々に感謝の意を表して結びとしたいと思います。ありがとうございました。



群馬高専機械工学科教授 平社信人(高崎市日光町)

 【略歴】ひらこそ・のぶと 石川島播磨重工業、IHIエアロスペースを経て、2009年に群馬高専へ。20年から現職。愛知県出身。東京工業大大学院博士後期課程修了。博士(工学)。


2020/10/14掲載

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