日独に暮らして 考える力を育てるべき
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 この1年間、数回にわたり執筆をさせていただきましたが、文章を書く難しさ、自分の表現の拙さを痛感する1年でした。言いたかったことが文章で伝わっていたのか、自問自答しています。

 私が1年間言ってきたことは、ドイツで暮らして感じたこと、驚いたこと、感心したことの中で良い部分だけを日本で生かせないかということです。また、日本に戻ってがっかりしたこと、落胆したことなど悪い部分を改善できないかということも考え、提案をしてきました。

 地方ほど高齢化が進み、若い働き手が貴重になっている中、古い慣習や年功序列が壁になり若手を生かせない現場。社内外の手続きが煩雑でスピード感がなく、効率の悪い社会。長年にわたり結果のみを追求する職場や社会で培われた中高老年のモラルの低下。上層部に気を使い根本を変えることをせず、自分の行動範囲内でしか物事を考えられない中間層の考える力の弱さや狭さ…。

 すべてが、これからの社会を築く若手にのし掛かっています。このような状況の中で物事を覚えた若者は、ビックリするくらい考えることのできない人物に育つでしょう。

 ドイツ生活で驚いたことは教育の充実です。日本とは教育制度が違いますが、日本の小学校に当たる初等教育、中等教育、職業教育、高等教育、大学とその他高等教育機関まで教育費は無料で、途中から進路を変更しても、もちろん無料です。中には進路変更ばかりしてなかなか働き出さない人もいますが、これは例外でしょう。

 無料も魅力ですが、指導の仕方が違います。いろいろなことを詰め込むのではなく、なぜそうなるのか理論立ててしっかりと理解させます。そのために中等教育の途中から自分の目指す専門分野に分かれて教育を受けるのです。

 そして学生とは別に教師も定期的に教育を受けています。学校が休みの時などに講習を受ける義務があり、自分の知識と教育方法を更新していきます。その代わりドイツの教師は部活動などの校外活動には一切関わりません。

 スポーツや芸術活動はクラブチームが発達しており、みなクラブチームで練習します。もちろんクラブチームにも専門の教育者がいますので、専門的な技術や理論しっかりと理解させます。ここでも出てくるのが考える力です。与えられたことを漠然とこなし毎日消化するのではなく、同じ作業でも考えながら行うことで成果が上がり、効率が良くなるはずです。

 このような海外の、ひょっとしたら隣の会社の良い部分を取り入れてみたらどうでしょうか? もちろん、ただ取り入れるのではなく考えながらです。1年間、お付き合いいただき、ありがとうございました。



ビール醸造家 斎藤季之 前橋市堀越町

 【略歴】2017年から月夜野クラフトビールで醸造を担当。01年から12年間、ドイツでビール造りを学ぶ。国際的な審査会で受賞多数。北海道北見市出身。

2020/10/19掲載

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