女性活躍推進と少子化 誰もが輝ける社会に
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 菅義偉首相は組閣後早々に、不妊治療の助成を大幅に拡充し、将来的には保険適用にする方針を打ち出しました。お子さんを望み治療されている方にとっては朗報です。

 少子化が進む日本で、労働人口の減少や多様化する市場ニーズへの対応から、女性の活躍推進が不可欠であることに異論はないと思います。そのためには男女の平等、ジェンダー問題の解決と、女性のエンパワーメント(権限移譲・能力開花)が重要です。

 しかし、日本のジェンダーギャップ指数(男女格差の指標)は153カ国中121位で、先進7カ国で最低です。低迷続きで上昇する兆しもありません。特に政治分野は144位とひどい結果です。フィンランドでは34歳の女性が首相を務め、閣僚19人のうち女性が12人に上ります。

 国連で2015年に採択された持続可能な開発目標(SDGs)の目標5「ジェンダー平等を実現する」には、全ての女性に対するあらゆる形態の差別を撤廃し、適正な政策および拘束力のある法規を導入・強化することが求められています。女性に対する政策を決定し進めるには、女性が意思決定に加わるべきですが、菅政権の女性閣僚はたった2人と少なく、その実行が可能か不安です。

 男性から見ると、最近は男女格差が少なくなり、女性の働く環境は整備されつつあるように思えますが、その多くは男性側の目線から作られた制度です。妊娠出産でキャリアを一時的にストップさせなければならないことや、育児休業後の復帰のポジション、女性特有の病気や健康に対する配慮なども少なく、多くの不安を抱えているのが働く女性の現状です。

 女性にとって単純に働きやすい職場ということだけでなく、自分の能力を思う存分発揮でき、人として成長できる場が社会になければ、男性と同様に活躍し続けることは難しいでしょうし、女性は産むという選択を諦めてしまうかもしれません。女性の活躍を応援し、少子化にも対応していくには、もっと女性の声・意見を反映し、女性だけでなく、夫、家族、社会で子どもを育てる環境が必要です。

 皆さんの会社に女性役員は何人いますか? 男の子は青で女の子は赤。男子は理系で女子は文系、夫は仕事で妻は子育て、政治家や科学者、医者は男性の職業、そんな固定観念やステレオタイプがたくさんあります。男性脳や女性脳、そんなのありません。

 個人の能力は性差よりもそれぞれの個性や環境によるものが大きいのです。男だから女だからでなく、多様性をもった全ての人が、自分の人生を自由に設計でき、将来も持続可能で楽しく健康に暮らせる社会をつくれるよう、一人一人が自分の中のジェンダー・ステレオタイプに気を付けていく必要があります。



産科婦人科舘出張佐藤病院院長 佐藤雄一 高崎市竜見町

 【略歴】佐藤病院グループ代表。産婦人科専門医。生殖内分泌や腹ふくくう腔鏡手術が専門で、2007年に不妊治療専門施設を高崎市内に設立。順天堂大医学部卒。

2020/10/27掲載

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