少医師地域の医療(1) 対コロナ、結束と知恵
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 医師偏在のほか、医師の少ない地域での現状や対策、子どもに関する話題などを中心にお伝えしていきます。初回は少医師地域における新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)対応です。

 2014年統計では、館林市・邑楽郡は人口10万人当たりの医師数が104人。県平均225人の半分以下です。それでも、コロナ対応に加え、それ以外の発熱患者さんの対応、慢性疾患などのかかりつけ対応、救急などすべてをこなさなければなりません。限られた数の医師と医療機関で、その時期にあった役割分担、臨時の施設活用など工夫して対応します。郡市医師会の担当役員としての動きを中心にお話しいたします。

 3月、管内で医療従事者の感染があり、入院と検査が約1カ月できない状態でした。この間は県外含め隣接地域の中核病院にお願いしました。このときばかりはコロナ対応は完全にストップでした。

 4月、各医療機関での感染防止のため、発熱患者さん専用の発熱外来の設置を検討しました。しかし、予想以上の防護具不足、参加医師の自院の診療への影響、風評被害の心配、場所の確保難から、開設は難しいと判断しました。

 5月、その代用策としてPCR検査センターを立ち上げました。医師会員有志に自院の診療の合間をぬって協力いただきました。また、県や市町から防護具の提供をこのセンターに集中させて運用を始めました。各医療機関に発熱の方が分散しては感染拡大の心配があります。

 当地域はまず1カ所でPCR検査をし、結果を見てから各医療機関で診療する順で対応しました。限られた医師、施設、防護具態勢でも、医療従事者を感染から守り、地域の方にある程度の検査を提供できると考えました。現在も順調に運営できており、今後もこのセンター方式を中心に態勢の維持を考えています。

 少医師地域でもあらゆることに対応するためには、各個がバラバラに動いていてはいけません。コロナのような大規模感染症は司令塔の保健所と、実動部隊である医療機関と市町村が緊密に連携協力しないといけません。

 今回は3月に多忙を極めた保健所がその後司令塔の機能を発揮できたこと、少ない医療機関が協力し役割分担をしたこと、保健所・医療機関・市町が一致協力して館林邑楽の独自色を出せたことが大きいと思っています。

 そのためにも、国や県が単一に指示を出すのではなく、各郡市の現場を把握できる保健所にある程度のことを任せ、各地域で提供できる医療態勢にあうよう柔軟に運用できることが望ましいと考えます。

 医師の少ない地域ですが、今後も保健所の指揮の下、医師会・医療機関と市町が協力して当地域の医療を守っていきたいと思います。



こやなぎ小児科院長 小柳富彦 館林市富士原町

 【略歴】2006年開業、11年に病児保育室を開設する。館林邑楽地域の小児医療、子育て支援に関わる。館林市邑楽郡医師会理事。農大二高―自治医大医学部卒。

2020/11/23掲載

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