まずは相談から ひきこもりという誤解
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 私は「ひきこもり」という言葉が好きではありません。10年近くこの問題と向き合ってきた中で、その言葉が実態に即していない、違和感のようなものを常々感じてきたからです。

 「ひきこもり」とはそのまま「ひきこもる人」を意味しますが、私も含め多くの方が「ひきこもる」という言葉に主体的な、つまり当事者が自分の意志で、社会とつながらない判断をしているといった印象を受けていると思います。

 しかし、今までお会いした多くの当事者やそのご家族の中に、望んで今の状況になっている方はいませんでした。誰もが社会とつながることを望みながら、学校や就職活動、職場の中で失敗や挫折、生きづらさを経験し、再びつながる機会、自信を失ってしまい自宅にやむなく避難しているような状態なのです。

 そうした状態は「ひきこもり」ではなく、むしろ「社会的難民」と表現したほうが適していると感じます。

 「ひきこもる」という言葉からイメージされる主体的な意味合いと、実態との違い。それがこの問題を解決困難にしている一因でもあります。当事者とそのご家族は、世間から遊んでいる、怠けている、自己責任だとの偏見を受け、自責の念から我慢をし、助けを求めることを拒んでしまうという現状を生んでいるのです。

 しかし、私は社会とつながることができていない、あなたとそのご家族へ伝えたい。

 「あなたたちは何も悪くない」

 それが今までこの問題に向き合ってきた私の結論です。長い人生で失敗や挫折を経験することは当然ありますし、それは自分を成長させる糧になる、大切なものです。もし失敗や挫折をしたことで社会とつながる機会が失われてしまったとしたら、それは社会に問題があるのです。

 あなたたちだけがこの問題を背負い続ける必要はありません。今はこの問題に対して相談、支援してくれる人たちがいます。以前支援を求めたがその時は良いものがなかったという方もいるかもしれませんが、今は支援の数も方法も増えています。

 この問題への社会の理解も少しずつ変わってきている中で、あなたたちにとってきっと良い支援が見つかるはずです。「もういまさら」とは言わず、まずは相談から始めてみてください。

 県ひきこもり支援センター(027-287-1121。月曜~金曜9時~17時。祝日および年末年始を除く)が県の相談窓口です。

 私が活動する自立支援スペース ワンステップ(080-8479-2602)でも相談に応じます。

 あなたとそのご家族にとって、少しでも良い方向に向かえるよう、共に考えていきましょう。



自立支援スペース「ワンステップ」代表 中沢充宏 安中市郷原

 【略歴】2014年にワンステップを立ち上げ。20年3月まで富岡市の障害者就労移行支援事業所勤務。エミューの研究を経験。元警察官。渋川市出身。東京農業大卒。

2020/11/25掲載

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