獣医師として 原点は「動物園が好き」
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 私は根っからの動物園好きです。北九州市で生まれ育ち、身近に到津遊園地(現到津の森公園)がありました。小さいころからどこに行きたいか聞かれるたび、私の答えは、そこにある「動物園!」でした。園内ではおりにしがみついて動物に夢中になり、餌をあげて楽しんでいました。

 自然の生き物も大好きでした。小学校時代の夏休みの自由研究では採取してきた卵を孵化(ふか)させて育て、その成長記録をまとめていました。

 特に印象深かった思い出は小学4年生の時、カスミサンショウウオの卵を採取した時のことです。全て孵化したため、飼育していた水槽が過密になるたびに元の川に放流していました。ある時、放流に行った河原が擬岩工事でふさがれており、どうしようかと戸惑いました。このころから身近な自然や生き物、環境にも興味を持ち始めたように思います。

 中学生の時、長年飼育していた犬のロッキーが亡くなりました。高齢で、暑い夏に体調を崩したため、冷房を効かせた室内で飼育していました。毎日「行ってくるね」と声をかけて登校していたある朝、「クゥーン」と鳴かれたのです。「ちゃんと帰ってくるよ」と伝えて学校に向かいましたが、私が帰る前に亡くなりました。ロッキーはもう死が近いことを分かっていて、最後の朝に声をかけてくれたのでしょう。

 物言わぬペットにも感情があり、ちゃんと発信してくれていることを実感した体験でした。そんな動物たちの力になりたいと強く思うようになり、動物を一番理解し、助けることができる仕事は何か考え、獣医師を目指しました。

 大学の獣医学部で過ごす中で、こんなに動物を好きなのはなぜだろうと考え、気付いたのが自分の原点に動物園があることでした。学生時代、さまざまな動物園、サファリパークで研修をさせていただき、動物園で働きたいという気持ちが高まりました。

 研修時代にお世話になった先輩方の縁で卒業後、大分県のサファリパークで働けることになりました。そこでは必要な時に獣医師業務を行いましたが、メインは飼育業務でした。飼育業務を始めてすぐ、先輩が動物を見ながら「今日、こいつ機嫌がいいよ」と言っていたのがとても印象的で、こんなふうに一頭一頭と付き合えるようになりたいと思いました。

 そして、6年前に群馬サファリパークに就職しました。群馬サファリパークでは約100種、1千頭羽の動物の健康管理や治療を行っています。私たち獣医師も毎日動物を診て回りますが、それぞれの担当者と健康状態を確認しあいながら、日々動物の管理をしています。

 これからも動物たちと向き合って仕事ができる喜びと、動物と共に成長したいという希望でいっぱいです。



群馬サファリ・ワールド獣医師 中川真梨子 富岡市南後箇

 【略歴】獣医師として九州のサファリパークに約4年勤務後、2015年7月、群馬サファリ・ワールド入社。動物の健康管理や治療を担う。北九州市出身。麻布大卒。

2020/12/17掲載

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