私のボランティア指針 できること気持ちよく
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 先日、ヘアードネーションをしてきた。髪の毛を30センチ寄付するボランティア活動だ。ここ数年、髪を伸ばし始めたものの、ある程度の長さになり、この先どうしようかと悩んでいた時に、女子高生ヘアードネーション同好会があると耳にして、私も協力したい、と思ったのだ。

 ロングからショートヘアという見た目の大きな変化というインパクトもあり、会う人に切った理由を話すととても感心される。髪を美容師さんに切ってもらっただけなのに、「すごい」「えらい」「素晴らしい」と言われ、こんなに褒められるのか! と、逆にありがたい気持ちになる。

 さらに、そのような活動があるということを広められ、その話題を出す度に自分がちょっとした良いことをしている気持ちになれて鼻が高い。

 自分が誰かの役に立つということを実感するとその喜びもひとしおだ。託児などボランティアをして、お子さんに「楽しかった」とかママに「助かりました」とか言われると、充実感を得られるし、その時のことを後で思い出してもご機嫌になる。

 今回は数年かけて髪を伸ばしたり、ヘアードネーションについて調べたりと、じっくり準備をしながら考えるプロセスがあったのも良かった。募金やバザーへの出品などこれまで試してみた中で、どういう活動が自分には向いているのかが改めて分かった。

 私のボランティアに対する意識は、留学生として米国で暮らしていた20年前のエリーさんとの出会いから始まった。エリーさんは70代の白人女性で、軽度から重度の心身に障害を持つティーンエージャー8人を、養子として1人で育てていた。

 米国でボランティア精神は広く浸透していると感じていたが、ここまでのことをしている人はいなかった。彼女は「自分の息子たちはもうそれぞれ家族を持って独立したから、第二の人生をこの子たちにささげることにしたの」と、その暮らしを選んだ理由をサラリと教えてくれた。

 エリーさんのように自分の半生を差し出すことのできる人がいる。大金を匿名で送る人、行動を起こして多くの人に影響を与える人もいる。しかし、私にはそんな覚悟も、財力も知名度もない。

 エリーさんに衝撃を受け、かなわないと思った経験があったからこそ、私は自身の立場から「自分ができることを、できる時にしよう」をボランティアの指針にしてきた。その代わり、やると決めたからには、自分ができる最善のことを、義務感でなく気持ちよくするようにしている。

 今は誰かのために何かしてみたいと思えば、情報も手に入りやすく、さまざまな活動にチャレンジできる世の中だ。これからも、できることを、できる時に、自分のためにも続けていきたいと思っている。



子育てと学びのサポーター、臨床心理士 平林恵美 館林市栄町

 【略歴】館林市子ども子育て会議委員。米国の大学を卒業後、東芝を経て大学院で臨床心理学を研究。茨城県出身。横浜国大修士課程修了、東京大博士課程満期退学。

2021/01/11掲載

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