輝いて生きるために 本当にしたいことは何
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 中国の韓国系家庭で生まれ育った私は、物心ついたころから食いしん坊でした。母の作る料理が気に入らず、文句が多かったらしいです。そのたび母に「文句を言うなら、あなたが作りなさい!」とよくしかられました。仕方なく自分で台所に立ち、自分好みに味付けし直して食べる日々を繰り返していました。

 そんな私が20年前、留学生として来日した時、一番衝撃を受けたのは同じ女性として生まれてきたのに日本人の女性が圧倒的に若くてきれい、そして生活水準もずっと優れているところでした。そこで将来母国の女性たちの環境改善のため何かしたい!という漠然とした思いを抱き、筑波大の環境科学研究科に進みました。

 ところが、これが本当に自分のやりたいことなのかを見いだせないまま、卒業後は多国語翻訳会社に就職しました。長時間の残業や不規則な生活により体調を崩し、たった半年で退職しました。

 30歳を迎えた年に明確なビジョンと目標のないマンネリ化した生活に疑問を抱くようになり、理想と現実のギャップに悩み、揚げ句には体調も崩しがちになりました。そんなある日、本屋で手にした『栄養と料理』という本をきっかけに、日ごろの食べ物が肌と身体を作ることに気付きました。

 そこで正しい栄養知識やバランスのとれた食材の選択、食べ方を学ぶため女子栄養大の通信講座を受けることにしたのです。学んだものを実践しないと意味がないと思い、友達を呼んで持ち寄り食事会やホームパーティーを積極的に開きました。料理をしている時の自分が、楽しくてしょうがないのです。

 一方で料理を仕事としてやっていくための一歩を踏み出せないまま悶々もんもんとしていたある日、とあるセミナー講師から「人生は思うようにはならない、決めた通りになる」という言葉をいただき、限られた人生の中で好きなことを今できることから始めると決めたのです。

 幼い頃から食べてきた韓国料理、中国料理をまず自宅から提供していきたいと思い、2015年4月「女性の健康、美、元気に貢献できる『食』『空間』『笑顔』を創造し提供していく!」ことを理念とするおもてなし韓国料理サロンをスタートしました。サロンを運営していくことは容易ではないのですが、お客さまの笑顔に喜びと充実感を得ることができています。

 周りを見渡すと男女問わず、現在の自分が置かれた環境に納得いかないまま甘んじてしまっている方や一歩踏み出せずにいる方もいらっしゃるように思います。自分が本当に好きなこと、やりたいことをやることが、継続する力になり、モチベーションになり、事業に対して創意工夫が施されやすいと感じる今日このごろです。



なでしこ未来塾代表理事 桑原海鷹 太田市新井町

 【略歴】女性起業家育成を目指す同塾で2019年から現職。筑波大大学院修了後、研究職などを経て、15年にアジア料理教室を起業。中国遼寧省出身。01年に来日。

2021/01/27掲載

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