外国人とけが、病気 医療通訳の課題解消を
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 群馬県には現在6万人を超える外国人が住んでいる。生活して行く上でけがや病気になった場合、当然だが病院に通うこともある。

 私の会社では自動車保険を扱っているため、交通事故に遭われてけがをされたお客さまが病院に通うためのサポートをすることもある。

 課題はたくさんあるが、やはり一番は言語の壁である。医療用語や薬に関する説明などの専門的な用語になると、来日してから日が浅い外国人では全く理解できないこともある。それと同時に外国人が日本語で自分自身の症状の説明をすることも難しい。

 そんな問題を解決するために「医療通訳」というサービスがある。医療用語を理解し日本語と外国語を高度なレベルで扱うことができる、そんな卓越した頭脳を持つ人たちを派遣するサービスである。しかしこの医療通訳というサービスにはさまざまな課題がある。

 一つ目は通訳費の問題である。医療通訳者は医療知識と、通訳ができるほどの言語能力、人の命を左右するようなミスの許されない状況での仕事を求められる。普通に考えれば医療通訳を依頼するにはかなりの金額が必要だと思う。しかし現状ではほぼボランティア程度の報酬しか支払われていない。

 医療通訳に派遣される際は本業の仕事を休む場合もある。しかし、休んだ場合に受け取れたはずの収入は補償されていない。その結果進んで医療通訳に従事しようと考える人は少なくなる。では、なぜこんなにも通訳費が安くなってしまうのだろうか。

 その理由が二つ目の問題点なのだが、通訳費負担者があいまいであるということである。実は医療通訳費は誰が払うのか明確に決まっていない。全国を見ると、自治体によっては病院が通訳費を支払うケースもあるが、一般的に多いのは患者が負担するケースである。

 群馬県においては一部の病院を除き患者個人で負担するケースが多い。そうなると誰でも支払えるような金額にせざるを得ず、結果的にボランティア程度の報酬になってしまうのだ。

 多民族・多言語の国家であれば、全く違う対応になる。アメリカでは「政府からの助成金や支援金を受け取っている活動やプログラムにおいては人種、色、出身国を理由とする差別を禁じる」ことを連邦官報に明記している。言葉が分からないという理由だけで医療費の支払額が高くなるのは差別にあたるので、医療通訳費は原則病院が支払う義務を負うというわけである。

 最近、知人の外国人が日本語で予約を取って県内の病院に行ったのだが、窓口で外国籍であることを理由に診察を拒否された。応召義務すら軽んじる医師がいる中で、国籍を超えた平等が訪れる日は一体いつになるのだろうか。



アイザワコーポレーション社長 相沢正雄 伊勢崎市田中島町

 【略歴】ペルー生まれの日系3世。1998年に来日し伊勢崎の市立小中学校に通う。自動車販売店と保険代理店を営む傍ら、外国人の生活支援に取り組む。常磐高卒。

2021/02/26掲載

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事