女性と起業 スキルと経験を生かす
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 ピンチはチャンスという言葉の通り、考え方やアイデア次第で新しい世界が見えることがあり、予想もしないことが起こる場合があります。新型コロナウイルスの影響で多くの企業がダメージを受けたのと同様に、私も身動きが取れなくなっていました。しかし、変化し成長するチャンスに巡り合えた気がします。

 私はエピテーゼ専用サロンと、エピテニストを育成するためのスクール事業をしていますが、どちらも対面でしか行っていませんでした。肌の色や柔らかさ、しわ、ほくろといった細かなところを観察し、何に困っているのかヒアリングが必要だからです。

 しかし、コロナ禍によって自宅で過ごす時間が増え、人々の意識が変わったからでしょうか。スクールについては全国、そして海外からもオンラインでのレッスンを望む声があり、対面にとらわれていたのは提供する側の勝手な視点だったと気付きました。

 意識の変化といえば、私は友人の乳がんをきっかけに起業し社会起業家として活動していますが、近年、「誰かの」「社会の」役に立つ仕事がしたいと望む人が多くなっているように感じます。日本政策金融公庫総合研究所の新規開業白書によると、1970年代は組織への所属を求める社会的欲求が強い傾向にありましたが、2000年以降は承認欲求と自分自身の成長、能力発揮に対する自己実現を望む傾向が顕著になっています。寿命や社会構造の変化、女性の社会進出などが関係しているからだと思われます。

 女性が社会で活躍するには起業が向いていると考えます。起業といっても大きなものではなく、自宅を事務所にするような小さな事業を立ち上げることで、雇用されない自由なライフスタイルを実現しながら、既存の概念にとらわれない自由な発想、持っているスキルや経験を生かせる働き方ができるからです。

 同研究所の調査では女性が起業する場合「地域や社会が必要とする事業だから」や「経験やスキルを生かせるから」という意識が強く、もうけや規模に代わり、自分なりの新しい価値観や生き方として選択する傾向が強いようです。

 エピテニストは社会貢献度が高く、特別な資格や機材が必要ないので比較的簡単に自宅サロンを開業できます。乳がんなどデリケートな悩みに寄り添えるのは同性の強みで、女性ならではの感性と優しさを生かす働き方ができると推測しています。

 学びに関しては5G(第5世代移動通信システム)の導入でオンラインでも物理的な距離がなくなり、対面と変わらないほどに鮮明になるでしょう。理由をつけて学ばないのは危機感の欠如ともいえます。令和を生きる私たちに必要なのは学び続け、自己成長を楽しみ利他的な行動をすることなのかもしれません。



エピテみやび社長 田村雅美 甘楽町善慶寺

 【略歴】エピテニスト。2017年、事故や病気で指や乳房などを失った人向けの「エピテーゼ」(人工ボディー)を手掛けるエピテみやびを起業。元歯科技工士。

2021/04/03掲載

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