製品化の難しさ 協業で市場拡大目指す
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 最近の昆虫食品の人気の高まりには驚いています。今年3月、幕張メッセで行われた展示会(商品・サービス・情報などを展示、宣伝するためのイベント)に出展した際、多くの方がブースに立ち寄ってくださいました。食品メーカーの方からも「昆虫由来食品に注目していて、社内でも開発を検討している」という声を多く聞きました。栄養価が高く、環境負荷が小さい次世代プロテインとして、「SDGsに取り組む食品業界では大注目の原料だ」と高い評価をいただきました。1年前では考えられなかったことです。実は1年前にも展示会に出展したのですが、試食どころか、ブースにも立ち寄ってもらえないほどでした。

 最近は、昆虫食がテレビや新聞、雑誌で取り上げられることも多くなりましたが、2019年の会社設立当時は全くと言っていいほど理解されていませんでした。「虫を食べるなんてありえない」「そんな商品は売れない」と多くの人から言われたのを今でも覚えています。当然食品メーカーも乗り気ではなく、委託製造の相談もことごとく断られました。

 弊社が扱うコオロギパウダーは、HACCP認証養殖場で食用に飼育し、衛生管理の下に加熱粉末加工された安全な食品原料です。しかし、まだ事例が少なかった当時、「虫」は食品に入ってはいけないもの、という画一的な見方しかされていなかったのです。そうした状況の中で、この原料の可能性を理解してくださり、商品化を実現してくれたのが安中市の田村製菓さんでした。研究を重ね、同年12月にコオロギパウダーを生地に配合した磯部せんべい「コオロギのゴーフレット」が誕生しました。

 おいしい食品を開発し、お客さまに提案し続ける。小さな積み重ねが実り、昨年12月には大手製パンメーカーとのコラボレーションも実現しました。大手の参入は消費者の安心感の醸成にもつながり、昆虫食品への関心が一層高まったと思っています。

 ただ、昆虫食品が普及してきているとはいえ、価格の面では課題が残ります。私たちが作る昆虫食品も手を出しやすい価格とは言えません。これはまだ、昆虫食品の需要が少なく原料の生産量も限られているため、スケールメリットを生かせていないことに原因があります。手に取りやすい価格を実現するためにも、多くの食品メーカーの参入を促すことが必要です。

 自分たちのアイデアだけでは市場は大きくなりません。得意分野が異なる他者との協業シナジーによって、イノベーションを生み出す方が近道です。革新的なアイデアや技術を元に、今までになかったサービスを提案する「大学発ベンチャー企業」として、さまざまな主体とのコラボレーションを実現していきたいと考えています。



フューチャーノート社長 桜井蓮 前橋市関根町

 【略歴】高崎経済大発ベンチャーで、昆虫食品を手掛けるフューチャーノート社長。起業は同大在学中で、現在は同大大学院在学。新潟県出身。佐渡高―同大卒。

2021/04/08掲載

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