高齢者外出自粛の弊害 運動習慣で健康を維持
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 新型コロナウイルス感染症対策として、県は独自の警戒度を発表しています。同じ警戒度であっても、内容はその時々で異なります。

 第1波がほぼ終わった昨年5月30日に警戒度が2に下がっても「高齢者や基礎疾患がある方は生活に必要な場合を除いて外出を控える」要請がありました。6月13日に警戒度1に引き下げられてから、高齢者特記はなくなりました。8月15日に再び警戒度2に引き上げられた時は「十分に注意して外出」となり、11月28日にさらに警戒度3に引き上げられた際、高齢者は再び外出自粛となりました。

 登山は私の楽しみの一つで、毎年、夏は縦走登山をしていました。高齢者への外出自粛要請が出されていなかった5カ月半(6月13日~11月27日)、山小屋に宿泊する気持ちになれず、日帰りの軽い登山から再開しました。最初は順調でしたが、頻度や強度を上げた途端、11月の登山中、右膝に激痛が走りました。高度差300メートルを3時間かけてストックを頼りに後ろ向きに歩いて自力で下山しました。加齢に伴う筋力の衰えに加え、自粛生活で運動量が低下して足の筋肉(大腿(だいたい)四頭筋)が減少して膝を支えられなくなっていたのです。「高齢者は金(きん)より筋(きん)」の言葉を実感しました。

 3月23日に32市町村で警戒度2になるまでの4カ月、高齢者の外出自粛要請は続きました(警戒度2は現在33市町村)。この間、自宅でも膝のリハビリプログラム(ストレッチと筋トレ)を1日3回、忠実に行いました。啓蟄(けいちつ)がすぎた頃、虫と同じくヒトの心もウキウキ、体はムズムズ。リハビリ中に登山再開の可否を恐る恐る尋ねると「登山は激しい運動なのでまた痛くなりますよ」と言われてしまいました。半ベソで同じ質問を別のスタッフにしたら「どのくらいしたら痛くなるか、どのくらいなら大丈夫かを知るために注意しながら行っては?」と助言してもらい、どんなにうれしかったか。心に寄り添ってリハビリをしてくれるスタッフに感謝しました。

 振り返ると、私もコロナ関連の弊害が顕在化していたのです。最近の研究では、機能低下を防ぐために座位の状態でいる時間は1日2時間以内にとどめることと、週150分以上の運動が推奨されています。世界保健機関(WHO)が定める身体活動の基準と同等です。1日3回のリハビリは私にとってまさに効果的なインターバル運動でした。その結果、再び登山をできるまでに回復しました。

 コロナ時代の新しい生活様式に、それぞれが無理のない範囲内で運動習慣を取り入れて、健康を維持するための工夫が必要です。

 長かった外出自粛生活の最大の収穫は、自分の立ち位置を俯瞰(ふかん)できたことでした。ワクチン接種の案内が届いたら接種に出掛けます。





元群馬大医学部保健学科准教授(微生物学)佐竹幸子(高崎市栄町)

 【略歴】微生物学が専門で元群馬大、同大大学院准教授。元NPO法人EBIC研究会理事長。米CDC(疾病対策予防センター)で研究員の経験もある。福岡県出身。

2021/4/14掲載

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