消費者教育への期待 投資マインド育てよう 
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 先日、証券会社の営業の方とNISA(少額投資非課税制度)の話をした。帰り際、「今度、高校家庭科の教科書に投資が載ることになったんです。若い世代にもお金のことが身近になったら、と思うとうれしくて!」と笑顔で教えてくれた。

 少なくとも私の世代の日本では、学校でお金について学ぶ機会はなかった。お金の話は親に質問しても良い雰囲気はなかったし、子ども心にタブーな気がした。社会人となり、親となってからお金についてこんなに考えることがあるのにどうして学んでこなかったのだろう、と先ほどの営業の方が置いていった資料を眺めてぼうぜんとした。

 他国の教育を知りたいと読んだスウェーデンの社会の教科書の翻訳本が頭をよぎった。中学生向けでも「消費者としての知識」を取り上げていて、とても感心した。米国で暮らしていた頃も、休日に子どもたちが大通りの歩道で手作りのレモネードやクッキーを売ったり洗車したりして自力でお金を手に入れ、それを寄付する社会貢献が珍しくないと知り、子どもの頃からお金を回す経験を積んでいることに驚いた。

 私自身は、投資はおろか、お金のことを考えるのがとても苦手で、銀行に行くだけでも緊張してしまう。そんな私でも、米国在住時、生活に密着した投資について考えたことが2度ある。

 1度目は、市が運営していた無料の熱気球ライドが10ドル徴収になった時。のんきな私は、今までタダだったのにとがっかりしていたが、一緒にいた永住権を持つ友人は「その10ドルを出すことで、より良い市民サービスが返ってくるなら安いくらい」と言った。無料という点にだけ着目し、私はその先にある未来を見ていなかったと、衝撃を受けた。

 2度目は、知人の若い米国人が家を探している話を聞いた時。これから結婚も考えているので住みたい地域はどうしても譲れないという。まだ収入に余裕はないらしく、その地域は若いカップルには少々高級そうに見えたため不思議だったが、「安全にお金をかけるのは普通でしょう。命を守るための投資だよ」と言われ、安全に対する日本と米国の感覚の違いを思い知らされた。

 カード決済や電子マネー、ネットショッピングなどが一般的になってきたこともあり、子どもたちがお金そのものを目にすることも、手にすることも少なくなっている。お金の価値や、その先の資産運用などを、これからどのように学校で教えていくのか、とても興味深い。

 そして、米国で私が感銘を受けたような投資マインドが日常生活の中で根付き、お金の使い方を深く考えられる大人に育っていくことを期待している。






子育てと学びのサポーター、臨床心理士 平林恵美(館林市栄町)

 【略歴】館林市子ども子育て会議委員。米国の大学を卒業後、東芝を経て大学院で臨床心理学を研究。茨城県出身。横浜国大修士課程修了、東京大博士課程満期退学。

2021/5/4掲載

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