避難所とアレルギー 求められる適切な配慮
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 日本の日常生活において、当たり前のように享受している衣食住も、一たび大きな災害に見舞われると、一変して生活環境が変わります。健康に不安を持たない人であっても、大変な思いをすることは容易に想像できますが、アレルギー罹患(りかん)者およびその家族は、その何倍もの負担を強いられることになります。

 例えば、清潔な衣類が、手に入りにくい、肌を清潔にしにくい環境に陥ってしまった場合、アトピー性皮膚炎をもっている方はかなりつらい思いをします。食物アレルギーをお持ちのお子さんが、避難場所で供給される食事については、どうでしょうか? 小児ぜんそくの子がいる親子には、避難場所でどんなケアが考えられるでしょうか?

 アトピー性皮膚炎は、肌のケアがとても大切になります。肌を衛生的に保つために、シャワーや入浴は治療の一環で、決してぜいたくを言っているのではないという理解が第一に必要です。

 アトピー性皮膚炎は、他の人に感染することはありませんが、外見上の特徴から、心ない人たちに偏見を持たれたり、一緒に過ごすのを嫌がられることがあります。周囲が思っている以上に、罹患している本人、家族は周囲に対して相当気を遣っています。常時は無理でも、薬を塗る時間くらいは、罹患している本人に周囲の目に触れない場所を提供できることが望ましいでしょう。

 食物アレルギーのあるお子さんが、親とはぐれてしまった場合、その子がアレルギーを起こさない食事を渡すにはどのような配慮が必要でしょうか? 避難所や避難先で配られる貴重な支援食であっても食物アレルギーの人にとっては食べられないどころか、食べてはいけないものとなりえます。食物アレルギーを持つ子にとって食べられる物はかなり狭められます。その子の食べられる物を優先的に渡せるようにするには、周りの方々が、「食物アレルギーの人はいませんか?」「食べられるものを教えてください」など、積極的に声がけをし、食材の問い合わせには、内容を確認して正確に答える必要があります。

 大量調理の炊き出しでは、食物アレルギーの人への個別対応は困難です。できれば患者分の食材を分けて、家族が自分たちで調理することを認めてあげましょう。

 ぜんそく罹患者にはハウスダストやストレスはかなりの負担を強いることになります。避難場所で使用する毛布は、ハウスダスト、ダニアレルゲン対策を施したものを配布します。またできるだけ新しいものを支給します。また、ぜんそく症状緩和や治療に使う薬を吸入するための器具・ネブライザーは、電源を必要とします。体育館など電源の限られた避難場所で優先的に使えるように配慮することが求められます。



環境アレルギーアドバイザー支援ネットワーク群馬代表 塩田忠則 高崎市倉賀野町

 【略歴】寝具などのクリーニングを手掛ける愛幸(高崎市)の2代目社長。全国組織「環境アレルギーアドバイザー支援ネットワーク支部会」会長。流通経済大卒。

2018/01/28掲載

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