平昌五輪とスキー場 流行捉え話題づくりを
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 今年は平昌オリンピックがある年。スキーやスノーボードに関係する選手が活躍するとスキー場に訪れるスノーヤーは増えます。飲食店などでは金メダル取ったら何割引といったニュースがちまたを騒がします。スキー場は? 残念ながらオリンピックにちなんだアプローチをしているスキー場はほぼ皆無です。

 20年前、スキー場は流行の最先端でしたが、現在ほとんどの営業担当者は他の業界より季節や流行に鈍感で、「雪質がよいです」「晴れてます」「たくさん雪が降りました」とか、スキーをずっと続けている一部の人向けの情報発信しかしていません。これでは、新規に始めたいというお客さまはなく、マーケットが縮小するのは当然です。

 ブームの時は勝手に人が集まり、人が集まるところには勝手に話題ができます。ブームが去り、お客さまに知ってもらうためには広告宣伝を打てればいいですが、営業担当者はお金がないと嘆いてばかり。スキー人口は7年前にリクルート社が企画した雪マジ!19(19歳はリフト券無料)などがあって盛り返してはいますが、マーケットはいまだ低迷し、既存のお客さまを各スキー場が食い合う構図になっています。

 営業担当はお客さまさえ呼べればと割引券を大量に配り、利益度外視で安売りを始めます。実はリフト券を100円値引いてどのくらい集客ができるのかを意識しない営業マンに任せきりで、その価格戦略がどのくらい経営にダメージがあるか、意識していない経営者が、特に第三セクターの会社では多いのです。

 私は、過去に選手と同姓同名で割引というオリンピック割、上毛かるたが言えれば割引の上毛かるた割から、温泉付きの女子会ツアー、業界初の婚活パーティーやフラッシュマーケティング、昨年はシニアが連れてきた孫の人数分食事券をプレゼントするマゴ割を行いました。

 何が理由でスキー場を選ぶかという調査では、口コミや紹介というのが今も昔も8割を占めます。お客さまの気持ちにアンテナを張り、スキーを滑ることだけでなく、スキーを企画してから帰りつくまでが楽しくてワクワクする非日常への旅だと伝える努力、話題づくりをしていけば、魅力的な雪という観光資源をもつスキー場は、お金を使わずとも、国内外のお客さまを呼びこむことができるのではないでしょうか。話題づくりを提供できているスキー場は、ニセコや野沢温泉を例に出すまでもなく、エリア全体の観光を活性化する原動力になっています。

 ピーター・ドラッカーは「マーケティングは、セリングをなくすもの」と言っています。安いから来て! といった売り込みをせずとも、SNSが定着した今はスキー場が生き残れるチャンスなのかもしれません。



長和町振興公社(長野県)経営企画室室長 清永治慶 東京都文京区

 【略歴】サントリー勤務、スーパーなどを経営後、数カ所のスキー場を運営。2009年、みなかみ町ノルン水上スキー場取締役支配人。16年12月から現職。慶応大卒。

2018/02/01掲載

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