デジタル社会に生きる 視野広げて変化に対応
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 情報化の進展が著しい今日、情報を主体的かつ効果的に活用する能力が求められるようになった。例えば新型コロナウイルスワクチンの接種を予約しようとして電話回線がなかなかつながらず、インターネットを利用しない高齢者が取り残されている現状も生まれているようである。

 最近の学校現場では、情報教育の充実とコンピューターなどを活用した教育が推進されている。小中学校では児童生徒1人に1台のタブレット端末の配備が進む。全国の一部の大学ではダブルメジャー制度を検討しているところもある。これは、本来の専門分野とデータサイエンス分野を同時に主専攻で学ぶ仕組みだ。政府はデジタル社会において、「数理・データサイエンス・AI」の基礎的な力は全ての国民が身に付けるべき能力と捉えており、今後もこの分野の教育が充実していくことが予想される。

 ここで危惧されるのは、情報教育を十分に受けた若い世代と、そうでない世代との間にスキルの格差が生じ、デジタル社会の中で取り残されてしまう世代が出てくる可能性があることだ。技術や社会が安定した時代なら、若い時に学校で学習した内容だけで、その後の人生で困ることはないかもしれない。しかし技術の進展が著しい現代では、生涯学習の必要性がますます高まっている。特にデジタル社会に必要とされるスキルを身に付けないと、環境変化に対応することが非常に難しくなり、仕事がコンピューターに奪われてしまうなどの危険性がある。

 若い世代は、専門分野の殻に閉じこもる時代は終わったと自覚した方が良い。むしろ環境変化にいつでも柔軟に対応できるよう、自分に合った勉強方法の確立と専門分野以外の科目の学習にも重点を置くと良い。

 自分に合った勉強方法は教えられて簡単に身に付くものではない。目標に向かって、長い間一生懸命努力して勉学に励むことで、自分でつかみ取り確立するスキルだろう。

 大学の入学者選抜はAO入試、推薦入試の比重が大きくなる傾向にあり、一般入試を経験しない学生が多い。そのため、自分に向かない勉強法を実践している学生を見掛けることがある。受験経験の少ない人は、学生のうちに苦心して勉強に励んだ方が良い。

 将来自分が就く予定の職業に直結する専門分野は、すぐに役立つ可能性があるため学習するモチベーションは高まるかもしれないが、時代の流れとともに陳腐化する恐れがある。むしろ自分とは直接関係ないと思われる科目が、生涯にわたって自分を助けてくれる可能性もある。

 今の若者は今後の社会の動向に目を向け、挑戦することが重要だと考える。



群馬医療福祉大大学院社会福祉学研究科教授 白石憲一 高崎市江木町

 【略歴】2017年から現職。専門は計量経済学。県の地域大学連携モデル事業で桐生市などと共同研究を行う。川崎市出身。慶応大大学院商学研究科単位取得退学。

2021/07/29掲載

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