デルタ株の猛威 対策緩めず抑え込みを
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 現在、世界中で新型コロナウイルス感染が再拡大しています。ワクチン接種が進んでいる国も、そうでない国も困難に直面しています。ワクチンの有効性は確認されています。しかし、ワクチン接種が進んでいる国でも対策を緩めると感染力が強いデルタ株(インドで確認された変異株)が広がり、未接種者や1回だけの接種者に猛威を振るい、まれに2回接種完了者も感染しています。集団免疫がまだ十分でない時期に対策を緩和したことが原因だと考えられています。

 デルタ株は日本国内でも群馬県内でも広がっており、特に関東1都3県での感染の勢いは止まっていません。国内のワクチン2回接種率は高齢者で72%、全人口で27%です(7月28日時点)。接種は進んでいますが、集団免疫には十分ではありません。

 しばらくの間、感染が落ち着いていた県内においても、人の往来が増える夏休みシーズンに入り、予想されていた再拡大が始まりました。本格的な第5波到来が懸念されています。新たな武器(ワクチン)を持ったヒトとウイルスとの闘いが始まっています。

 ワクチンは万能ではありません。12歳未満の子どもたちを感染から守る承認済みのワクチンはまだありません。子どもの生死に関わるような新型コロナ感染はまれですが、米疾病対策センター(CDC)の公式集計では18歳未満の490人が亡くなっています。このうち164人が4歳未満の乳幼児で、多くは基礎疾患がありました。

 若い世代には、副反応を心配してワクチン接種をためらう人も多いようです。コロナ診療に携わる臨床医は「ワクチンの副反応に比べれば、コロナにかかった方が症状は重くつらい。軽症であっても臭覚や味覚異常が長期間続く場合もある。ワクチン接種で子どもを間接的に守ることができる」と発信しています。

 海外渡航の際にワクチンの接種歴を証明する「ワクチンパスポート」は26日に申請の受け付けが始まりましたが、政府は国内での活用には慎重な姿勢のようです。接種完了者と未完了者が混在している現状では、従来の対策、特にマスク着用が欠かせません。猛暑時は熱中症に警戒し、マスクを適切に着脱することも重要です。

 県の警戒度が2になった7月上旬、久しぶりにフィットネスジムに出掛けました。店は県のストップコロナ対策認定を取っており、入館人数を制限したり入館時に検温したりするほか、マシンの間にアクリル板を置き、使用前後には消毒し、常に窓を2カ所開けて自然換気をするなど、対策をしっかり守っていました。もちろん、利用者も全員マスクを着用しています。

 まずは対策を緩めることなく、一日も早く希望する人へのワクチン接種が完了することを願っています。



元群馬大医学部保健学科准教授(微生物学) 佐竹幸子 高崎市栄町

 【略歴】微生物学が専門で元群馬大、同大大学院准教授。元NPO法人EBIC研究会理事長。米CDC(疾病対策予防センター)で研究員の経験もある。福岡県出身。

2021/07/30掲載

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事