自分と向き合う 弱さ受け入れて強みに
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 ソロキャンプが趣味だ。キャンプ飯と言えば、その代名詞でもあるカレーだろう。料理人でありながら、その手軽さからレトルトカレーの魅力に取りつかれ「いつかキャンプで食べよう」と珍しいものからご当地ものまで買い集め、その「いつか」を待ちわびながら数えきれないレトルトカレーが今か今かと出番を待っている。

 カレーというとあることを思い出す。20歳の頃、私は地元のスーパーで店長として働いていた。そこは青果部、精肉部、鮮魚部、総菜部、そしてそれ以外を担うフロア部に分かれていて、いわゆるテナント制という珍しい形態でのスーパーマーケットだった。なんとなく統一性を感じることのできなかったその店舗で、私は頭をフル回転させた。「何か一つ、同じ目標を共有することはできないだろうか」と。そこで企画したのがカレーフェアだ。

 私の属するフロアは各メーカーのカレールー、福神漬けやらっきょう、チーズ。青果部は北海道産のニンジンやジャガイモ、タマネギなど、夏野菜カレー向きの野菜。鮮魚部はシーフードカレーに特化したもの。精肉部はポークとビーフ、チキン。そして変わり種のワイルドミートといった食材。総菜部はカツや唐揚げ、コロッケ、イカ揚げなど。それぞれの個性を十分に発揮し、全てをカレーに統一したテーマで1枚のチラシを打ち出したのだ。

 一つの同じ目標に向かって、バラバラだった個性がつながった時、思いもよらない力を感じることができた。自分とは違う「他人(個性)」は自分自身を何倍にも高め、限界だと思っていたラインを越えることができたのだ。

 「できないことがある」と口にするのはなんと素晴らしいことなのだ、と新しい発見だった。恥じることのない素晴らしい利点でもあった。「私にはできません」。なので「あなたの力を貸してください」。これがなんとも心地よかったのを覚えている。

 「自分はまだポジションに就いていないから」「今の状況だと何もできないから」。これは本当にもったいないと思う。どんな状況でも「仕方ない」が必ずあるのはそれこそ仕方ないのだが、できない理由が見つかるのならば、できる理由も必ず見つけられると思っている。ポジションは訪れるものではなく呼び込み、切り開き、手にするものだ。それには自分という名の武器が必要となる。自分自身と何度も何度も向き合って、自分には何ができて、何ができないかが見つかるまで問い掛ける。できないことを見つけた時にこそ、できること(武器)が見えると思っている。

 できない「弱さ」と向き合う「強さ」が何より大事なのだ。自信を持って弱さを受け入れよう。自分ではない、誰かにとっての強さになるために。





ベイビーズ&マタニティ・Cafeラルゴ代表 高久保渉(桐生市琴平町)

 【略歴】2015年、同店オープン。母親向けイベントなどを開催し、育児をしやすい街づくりに取り組む。市民有志団体「Sukiryu」代表。桐生市出身。

2021/8/1掲載

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