人生で迷子になった時 目標達成の道筋描こう
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 「自分は何がしたいのだろう」「何を求めているのだろう」と、人生や生き方について自問自答することが増えた。これまで時間をかけて自分と向き合い、人生の選択をしてきたという自負があり、自分のことはよく分かっているつもりなのだが、迷子になってしまう。コロナ禍ということもあるかもしれないが、このような状況に陥ってしまうのはなぜだろうか。

 どうにかしなくてはと、自分の現状と今後の展望を紙に書き出し、活動計画のようなものを作ってみた。そして大学の先輩に、それに関するフィードバックをしてもらった。見えてきたのは、今の私の行動は「数値目標」「具体的な達成方策」「達成時期の明確化」がされていないということだった。

 一例を挙げると、私は「地元群馬にお囃子(はやし)を普及したい」という思いのもと、定期的に体験会を開いたり、オンライン教室を開いたりしている。昨年、コロナの影響で演奏の場を失い、何か自分にできることはないかと始めたことだ。1年がたち、多くの人たちと関わることができた。しかし、自分が目標に掲げた「お囃子の普及」にどれだけ近づいているのだろうか。それを問われた時に、答えられない自分がいる。そもそも「お囃子の普及」とはどのようなことを指しているのだろうか。具体的な指標を設定していないため、目標の実現に向かっているという実感を得ることができないのだ。抽象的な目標のままでは、自分の現在地が分からなくなってしまうのも無理はない。

 そこで私は「お囃子の普及」を可視化するために、具体的な数値を設定してみることにした。「○人に小鼓に触れてもらう」「子どもたち○人にお囃子を知ってもらう」というように、体験してくれた人数を一つの指標とすることにした。期間を定め、設定した人数を目指して活動する。そうすることで、さらに人数を増やすためには何をしたら良いのかという新たな課題も生まれる。目標達成のプロセスを感じながら行動できるのではないだろうか。

 「自分は何がしたいのだろう」という感情は、目標が明確になっていないことが原因だったように思う。当たり前のことだが、人生における目標は、目の前のことに追われていると案外見失いがちになる。

 私は邦楽囃子方として活動しているが、そのゴールは非常に曖昧なものである。スポーツと違い、誰かと戦うわけではないし、オリンピックで金メダルを取ることが目標でもない。長い年月をかけて自分の技術を高め、精神を育てていくものである。

 果てしなくも思える道のりで迷子にならないためにも、しっかりと目標を定め、その達成のために一歩一歩、歩を進めていきたい。



邦楽囃子方藤舎英心(とうしゃえいしん)(中島一樹(なかじまいっき)) 高崎市上並榎町

 【略歴】2016年に藤舎(とうしゃ)流囃子方の藤舎呂英(ろえい)さんに弟子入り。19年からプロとして活動し、国立劇場などで演奏。高崎高―慶応大卒。東京芸術大別科修了。

2021/09/10掲載

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