心の癖とテレビ視聴 生活習慣見つめ直そう
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 東京五輪では日本選手の活躍が目覚ましく、歴代最多の58個のメダルを獲得した。新型コロナウイルス感染拡大のため、ほとんどの競技が無観客での開催となったが、中継の視聴率は好調のようで、選手の真剣勝負が国民を勇気づけ、国際交流による異文化理解の役割も担った。

 ところで総務省の調査では、国民のテレビの平均視聴時間は、2020年は平日がおよそ3時間、休日はおよそ4時間となっている。子どもの頃から累積してみると、賃金を得て働いている時間よりも、テレビの視聴に使っている時間の方が多いという人が少なくないことが推察される。リモコンを押せば一人で簡単にテレビを見ることができるため、見すぎてしまうことがあるかもしれないが、長時間のテレビ視聴は過剰消費であり、自制心との関連性が指摘されている。

 短期的に見た場合、テレビを見ることでストレス解消につながったり、社会情勢を知ったり、教養が身に付いたりと、メリットを感じることが多く、デメリットは目立たないことが多い。夜遅くまで好きなテレビを見て、翌日学校や職場で寝不足になって後悔することがあるかもしれないが、それでも数日たてば忘れて、同じことを繰り返してしまうかもしれない。しかし長期的に見た場合、他の活動に費やす時間が大幅に減少するなど、デメリットを無視することができない。

 欧米の研究などでは、長時間テレビを見る人は生活満足度が低い傾向がみられる。つまり、テレビを見ることで得られるメリットとデメリットのバランスを取ることができない人がいると考えられる。

 最近ではインターネットの利用時間も増加傾向にあり、同じ総務省の統計では20年のインターネットの平均利用時間は平日・休日ともに3時間弱となっている。昨年からのコロナ禍で在宅で過ごす時間が増え、19年と比べてインターネットの利用時間は平日、休日ともに40分以上増加したようである。インターネットもテレビと同じ問題が生じる可能性が推察される。

 テレビの視聴を意識的に減らしてみると、家族や友人との会話や読書など、視聴で犠牲になった貴重な時間の存在に気が付くかもしれない。人間は過去に自分が取った行動を好意的に捉え、その行動を継続してしまう傾向が指摘されている。その結果、違和感を覚えても過去に自分がしていたという理由だけで、疑いもなく不合理な行動を継続する可能性が生まれる。

 今まで自分が確立してきた生活スタイルを変えるには勇気や努力が必要だ。それでも、テレビ視聴を含めた習慣を見つめ直し、それによって生まれた時間を有効に使ってさまざまな可能性にチャレンジすることが重要だと考える。



群馬医療福祉大大学院社会福祉学研究科教授 白石憲一 高崎市江木町

 【略歴】2017年から現職。専門は計量経済学。県の地域大学連携モデル事業で桐生市などと共同研究を行う。川崎市出身。慶応大大学院商学研究科単位取得退学。

2021/09/20掲載

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事