群馬は日本の花どころ 技術誇る多彩な生産者
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 「群馬は日本の花どころ」と言えるほどに、群馬県は全国有数の花(か)き生産地であることをご存じでしょうか。花きとは観賞用植物全般のことを指します。農林水産省の統計データによると、2019年の本県の花き産出額は約51億円で47都道府県のうち21位。決して順位は高くありませんが、特筆すべきはそのクオリティーです。

 毎年初秋に花の直径が30センチ以上にもなる超巨大なアナベルを生み出す片品村は全国一との呼び声が高く、大田市場の一大風物詩となっています。卓越したたたずまいは威光を放ち、有名なデザイナーたちから次々と指名買いがあります。中之条町六合地区は宿根草や一年草、二年草など野趣あふれる200種以上の草花を出荷します。これほどユニークで豊富なアイテムを出荷する生産地は類がなく、都心のトップフローリストが毎年店頭で「六合村フェア」を開催します。コロナ禍で変化した需要にも柔軟に対応しています。

 桐生市黒保根町のさかもと園芸さんは世界を驚かせる育種力をお持ちです。02年にオランダで開催された国際園芸博覧会ではアジサイで金賞を受賞。それ以来、日本国内でもアジサイが見直され、マーケットの活性化につながりました。現在でもアジサイは切り花・鉢物ともに大変な人気ですが、その人気に火を付けたのは、日本のアジサイを世界に広めたシーボルトとさかもと園芸さんと言っても過言ではないでしょう。富岡市には全国でも珍しい切り花パンジーの育種と生産をして新しい需要を切り開いた方もいます。吾妻郡の大木伸一さんは、精密な生産管理で青の深いふっくらとしたリンドウを作り出します。比類なき生産技術の高さでファンが多く「大木さんの出荷したリンドウを全てください」という注文も珍しくありません。

 そして前橋のバラといえば、全国でも模範的生産地です。かつて大田市場への出荷がなかった頃、喉から手が出るほど欲しくて出荷をお願いしに伺い、取り引きが実現しました。今でもバラの品質を牽引(けんいん)しています。

 群馬が誇る花き生産者はここではご紹介しきれないほど数多くいらっしゃいます。県内で競合せず、それぞれの品目ですみ分け、県全体としてバラエティー豊かな花きを生産しているのも特徴の一つです。共通することは、ご自身の商品に対する責任感とモノづくりへのひたむきな取り組み、そして目の付け所とセンスの良さでしょうか。

 皆さんが日ごろ当たり前のように通り過ぎる道の脇にも花きの生産ほ場があるでしょう。それは日々の景色に溶け込んで、なかなか気付かないかもしれません。しかし、実はそこで国内でも随一の花が生産されている可能性もあります。興味が湧いてきませんか?






大田花き花の生活研究所取締役主任研究員 内藤育子(東京都大田区)

 【略歴】大田花き商品開発室を経て、2016年から現職。NHKラジオで花の市場だよりをリポートしている。日本フローラルマーケティング協会理事。藤岡市出身。

2021/11/17掲載

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