夢と恩返し 悩み苦しむ人を笑顔に
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 私には人生をかけてやりたいことがあります。それは痛みや不調を抱えて苦しんでいる人を笑顔にすることです。

 それを実現するために医療系の国家資格を四つ取得しました。理学療法士とはり師、きゅう師、あんまマッサージ指圧師です。鍼灸(しんきゅう)院を開業するのが目標ですが、現在は高齢者施設で機能訓練指導員として働いています。

 高齢者施設に就職したのは認知症と脳梗塞を患う祖父の死がきっかけでした。施設では命や健康のありがたさを実感しています。利用者の生活を支え、みとりを経験させていただけたのは私にとって財産です。複数の病気を抱え、病院を転々とし、最終的に施設に来る方も大勢います。リハビリの仕事を通じ、病気を未然に防ぐことの重要性も知りました。今後は自分の資格をフルに生かし、介護予防にも取り組んでいきたいです。介護現場にとどまらず、地域社会で健康の維持に貢献することが、尊い経験をさせてくれた方々への恩返しになると考えています。

 私は生まれつき目の難病を患っています。差別やいじめを受けた時、必ず先生や友人が支えてくれました。一人ではその困難を乗り越えることができませんでした。だから今度は自分が困っている人を全力で助ける番だと決意しました。

 そこで選んだのが医療・福祉の道です。ただ、私の病気は徐々に視力を失っていきます。そんな自分に人を助ける仕事ができるかどうか、不安もありました。しかし迷っている間にも病気は進行してしまいます。無謀にも四つの国家資格の取得を目指して勉強を始めました。祖父が亡くなったのは「むちゃな挑戦をしたな」と挫折しかけていた時です。自分の目が見えなくなっていく現実よりもつらいことでした。祖父の墓に手を合わせ、自分の人生をかけて人助けの仕事に全力を注ごうと誓いました。

 世の中にはいろいろな事情を抱えている人がいます。事故や病気で重い障害を負ってしまった人。生まれつき身体のどこかが不自由な人。年齢とともに足腰が弱くなってベッドや車いすでの生活を余儀なくされる人。仕事や子育て、介護で心と体が疲れ果てている人。そうした人たちは、やりたいことを諦めざるを得ない場面も多くあります。理解や配慮を得にくかったり、いつでも要望に応えてもらえるわけではありません。やり場のない怒り、諦め、葛藤、劣等感、ジレンマ、心配、不安、我慢…。さまざまな感情が湧き起こり、それをコントロールする努力をしています。時には死を思い浮かべてしまう人もいます。当事者を支える側の苦悩も計り知れません。私はそんな人たちを支え、助けていきたいと思っています。それを自分の使命とし、全力で取り組んでいます。



理学療法士 浜田守理(玉村町角渕)  

 【略歴】生まれつき弱視で高校卒業後、筑波大附属視覚特別支援学校に入学。理学療法士などの国家資格を取得し県内の高齢者施設に勤務する。高崎市(旧新町)出身。

2021/11/20掲載

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