患者中心の医療 価値観探し、向き合う
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 「患者中心の医療」の必要性が認識されて久しいですが、これはどんな医療なのでしょうか? 医師から治療法について十分な説明を受け、患者・家族の同意の上で、最善の治療を選択していく(インフォームドコンセント・チョイス)。「最善の治療」とは、「適切な医療」とも言い換えることができます。

 医療者が思う「適切な医療」とは、主に「病気」に対する医療であり、ガイドラインで推奨されている「標準治療」というものを指すことが多いです。一方、患者さんやご家族は、「病気」に対してだけでなく、「その人」にとっての「適切な医療」を考えていきます。私は、これこそが「患者中心の医療」そのものだと考えています。

 その人にとっての適切な医療とは、その人の年齢や体調、社会的な背景も含んだ物事の考え方=「価値観」に適切な医療ということです。「価値観」とは、何に価値を認めるかという考え方であり、「価値」とはその人にとってよいとされる性質(広辞苑)のことを指します。通常の生活をしているとき、この「価値観」を意識することは、あまりありません。

 自分の存在を揺るがすような大きな出来事である「がん告知」を受けたときなどに、自分という人間に直面し、価値の模索が始まっていくのです。そのため、自分自身もまた家族もいろいろな葛藤を繰り返しながら、おのおのが自分自身という人間と向き合うことになります。これには、非常に時間がかかることもあり、心身ともに大きなストレスもかかり、第三者の支援が必要になることもあります。

 私は、この時必要なことは「自分を語る」ことであり、語る場として「患者会」が適切ではないかと思っています。それは、患者会に参加している人は、みなさん自身が「がん」という病気に対して、自分自身と向き合った経験がある方々だからです。

 はじめは自分を語ること中心で参加されて、その後自分を語りつくした後に、自分が通って来た道を今現在歩いている方のお話を聞く。「私もそうだった」「その時黙って話を聞いてもらえて良かった」「つらさはその人のつらさだから人のアドバイスはいらないんだよね」など体験者として、次の方を見守ることができます。この空間は、この場所でしか作りだせないものだと感じています。

 2018年4月から、女性がより話しやすい場を提供しようと考え、全がん種類を対象にした「女性のがん患者会」を高崎健康福祉大女性・妊産婦ケアステーションで月1回開催する予定です。

 「患者中心の医療」とは、患者の「価値」中心の医療ではないでしょうか。これからも患者さんとご家族の「価値」を一緒に探していくための患者会活動を行っていきたいと思います。



子宮・卵巣がん患者会「みゅらりっぷ」代表、助産師 三武美紀 桐生市広沢町

 【略歴】看護師を経て助産師に。胎盤の細胞ががん化する絨毛(じゅうもう)がんを発症し、子宮と卵巣を摘出した経験から「みゅらりっぷ」を立ち上げる。桐生大短期大学部卒。

2018/03/07掲載

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事