海産物を未来の子へ 持続可能な漁業が必須
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 私は海なし県群馬で海産物の卸売業を生業としております。その日々の商売の中で感じる海産物の資源問題の現状を知っていただきたく、自分なりの視点でつづってみようと思います。

 昨年あたりから、資源の問題を取り上げる報道に接する機会も増えてきているように感じます。日本および世界の水産資源問題は深刻なようです。

 世界では人口が増え続け、それに伴って各国ともに漁業が盛んになっています。世界の魚介類の25%が過剰利用されている状態にあり、さらに52%がすでに限界まで利用されていて、過剰利用の一歩手前にあります。つまり77%、まさに世界の4分の3の魚が資源の危機にひんしている状態であるということです。まずこのことを多くの方に知っていただきたく思います。

 特に日本の近海では昨年から、顕著に影響が出たのではないかと思います。スルメイカの高騰にはじまり、サンマが全然取れない、そしてシャケが取れず、それに伴いイクラも取れず、イクラ泥棒が現れるなど社会問題となりました。最近では紅ズワイガニ、シラスも不漁で高騰しています。ウナギの稚魚であるシラスウナギも全然だめで、こちらも高騰していてウナギ専門店さんを悩ませております。

 こういった問題をどうやって解決したらよいかというと、地球温暖化による気候変動の影響もあって一概には言えないようですが、すぐにできることは「取りすぎない」ことにつきるようです。未成魚の魚はとらないこと。また、国がしっかり資源を管理していくこと。「守りながら取っていく」漁業に切り替えていかないと未来の子どもたちにおいしい魚を残していけません。

 海産物の商売をしていますと、取りすぎてしまった魚が市場を通して安く流通してしまう場合もあり、私も安く販売したい気持ちも多くありますが、このような資源の問題を知ってしまっていると、残念な気持ちになることが多々あります。

 安倍晋三首相が先日の施政方針演説で「漁獲量による資源管理をやる」と表明したことは、今までの内閣にはなかったことのようですので、これには期待しています。

 世界に目を転じますと、ノルウェーでは資源管理をきちんと行った漁業を復活させ、いまや漁業は成長産業となっています。斜陽産業と言われることもある日本の漁業の現状とは違う海外の例をみますと、本気で改革していただきたいと、切に願うばかりです。

 そのためには消費者の皆さまにも安いものを求めるだけでなく持続可能という部分を見ていただきたく、海産物を取り扱うものの一人としてお伝えしたく思います。



海産物卸売業「海老善」専務 町田純 玉村町板井

 【略歴】1998年、海老善入社。飲食店が上毛かるたの札にちなんだ料理を提供するイベント「上毛かるたグルメストーリー」実行委員会代表。農大二高―専修大卒。

2018/03/28掲載

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