困難抱える子どもたち 「公助」補う「共助」必要
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 数年前、元中学校教員であるオランダ人の友人が、私の家で1週間ホームステイをしていた時のことです。たまたまボランティア活動の話題になり、近くにあるHOPE本校に案内しました。そこで、私たち有志が無償で中高生への無料学習支援活動を行っていることを説明しました。

 すると、彼から思いもよらない言葉を聞きました。「あなたは、こんな活動をすべきではない。これは、国がすることです」

 私は、とっさに何か悪いことをしているかのような気持ちになりました。活動を否定するような彼の言葉の真意をすぐには理解することができなかったのです。しばらくしてから、国による常識の違いから生じたものに違いないとの思いに至りました。

 友人の住むオランダでは消費税率が19%です。「高福祉・高負担」で知られる北欧のスウェーデンやデンマークは25%になり、福祉制度が充実していると聞きます。そういった国々では、福祉は国が提供するものという意識がより強いと考えられます。

 スウェーデンにおけるボランティア活動をみると、「働いたり募金活動を行ったりして資金を調達し、それを寄付する」という国民的な意識がうかがえます。ノルウェーの場合、「無償ボランティア参加率が世界1位。国民の61%が参加し、国を支え団結力を強めるノルウェーの文化」などと対外的にも紹介されています。活動内容はスポーツや文化などに関するものが多く、福祉分野でのボランティアはそれほど活発ではありません。

 どの国も、それぞれの事情により福祉政策が異なり、それに応じてさまざまなボランティア活動が行われることになります。前述の友人は、日本における福祉政策やボランティア活動の役割や位置づけが十分理解できずに、自国の常識から率直な感想を述べたのではないでしょうか。

 例に挙げた欧州各国と比べて、日本は「高負担・高福祉」ではありません。その分、福祉分野を含め、社会におけるさまざまな問題解決のために、ボランティア活動が必要とされてきました。よく言われる「公助」や「共助」の考え方に立ちますと、国をはじめとする行政の政策で支えられる「公助」が難しいケースを、市民側からの「共助」で支えるということになります。

 昨今私たちの周囲では、生活が厳しい家庭、孤食に追い込まれている子どもたち、小学校4年生が陥る「10歳の壁」、不登校や引きこもりなど生活・学習面でのさまざまな問題点が報じられています。それぞれの場面で、青少年への支援が急務です。今こそ、「共助」としてのボランティア活動が必要ではないでしょうか。



NPO法人学習塾HOPE代表 高橋寛 高崎市上並榎町

 【略歴】県内公立高校で英語教諭を務める。2010年3月の退職後、ものつくり大学進学アドバイザーに就任。16年5月にNPOを設立し、現職。群馬大教育学部卒。

2018/04/16掲載

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