外国人含む観光誘客 酒蔵の魅力を生かそう
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 旅先でその土地ならではの食事やお酒を楽しみたいのは日本人だけに限らない。訪日外国人数が過去最高を更新し、東京・大阪・京都などの人気観光地が飽和状態になる中、地方への外国人旅行者誘致の必要性が叫ばれている。そんな中、魅力的なコンテンツの一つとして注目されているのが酒蔵ツーリズムだ。

 2013年に和食がユネスコ無形文化遺産に登録され、世界的に日本食に対する人気が高まり、欧州の日本食レストランは1万を超えたという。その人気を追い風に、日本酒の輸出量は10年から8年連続で過去最高を更新。10年前の約3倍の規模になった。フランス人ソムリエによる日本酒コンペティションも開催され、海外市場のさらなる拡大が期待されている。

 同じ醸造酒であるワインを好きな人が日本酒も好きになりやすいとのことで、海外に日本酒を売り込む際はワイン用語を当てはめて説明される場合が多いという。テロワール(産地の土壌や気候)やマリアージュ(食べ物などとの相性)という言葉がその一例だ。

 美しいブドウ畑を見ながらその土地のワインを味わうのは、フランスやイタリアなどでは地域の主要な観光コンテンツにもなっている。その地域の水やコメを原料につくられる日本酒は、地域の美しい自然をPRし、地域に足を運んでもらうための非常に有効なきっかけになりうる。

 また、原料のブドウが大きく味を決めるワインと違い、日本酒は水・コメ・麹(こうじ)などの原料を複雑な工程で糖化・発酵させる「技術力」や「匠の技」で味が決まる。日本の文化に興味を持つ外国人旅行者にとって、繊細な日本の技術を知る魅力的な観光資源となるだろう。

 群馬県にも26もの酒蔵があり、武尊山や赤城山など、群馬の美しい山々から流れるおいしい水が日本酒づくりを支えてきた。私の住む利根郡にも「利根沼田酒蔵ツーリズム」があり、ここは全国でも他に類を見ない日本酒をはじめとした七つもの蔵(酒蔵4、地ビール2、ワイナリー1)がそろっている地域だ。

 先日、東京や海外から国際きき酒師を招待してモニターツアーを行ったところ、群馬の美しい自然を生かした酒蔵ツーリズムやアドベンチャースポーツなどのコラボの可能性に高い評価をいただいた。

 地元では「おじさんの飲むもの」と思われがちな地域の地酒だが、最近は世代交代もすすみ、女性や海外にもアピールできる日本酒づくりに取り組んでいる蔵も多い。群馬県内でも多くの酒蔵では、事前予約で酒蔵見学を行っていたり、蔵でしか買えない少量生産の限定品を用意していたりする。地元の酒蔵を訪れれば、身近すぎて知らなかったような発見や、地域の良さを見直すきっかけがある。ぜひ一度足を運んでみてほしい。



元片品村地域おこし協力隊 本間優美 みなかみ町政所

 【略歴】大手通信会社を経て2014年12月に片品村へ。皮の利活用などに取り組み、協力隊退任後は沼田市で会社員。第1種狩猟免許所持。東京都出身。国際基督教大卒。

2018/04/20掲載

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