外国籍生徒の高校受験 保護者の理解も促そう
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 今年もたくさんの高校生が誕生した。受験という体験を通していろいろ学んだことと思う。特に日本語を十分マスターしていない外国籍生徒にとって高校生としてのこの1カ月は感慨深いことだったと思う。

 なぜなら、高校受験をすることは非常にハードルが高いからだ。日本人と同じ条件で各教科の試験を受けていく。日本語理解力の個人差はともあれ、中学校3年間の学習は、入試に対応できる力を付けるために、厳しく粘り強い取り組みが行われている。これは学校と指導者の熱意によるところが大きい。

 厳しいのは、教科の学力試験だけではない。保護者が日本の教育を体験していなかったり、入試制度を理解していなかったりすると、保護者としての準備ができていない場合がある。やっと合格したのに入学に至らなかったという悲しいケースもあった。

 高校への進学は人生の一つの分岐点、どのような立場の生徒でも、希望を持ってチャレンジできる環境をつくっていくことは大人たちの責任であると思う。

 大泉町をはじめ外国籍児童生徒が多く在住している地域では、実態に合わせてさまざまな支援が行われている。例えば進路説明会は、中学校3年間を見通した学習の仕方から、最新の入試要項など多岐にわたる内容を伝えていく。保護者が参加しやすいように土日や夜に開催されている。もちろん許す限りの母語対応も行っている。具体的には、学校の特色や、公立・私立の違い、経済的な内容、さらに上級学校を目指すための準備など、正しい情報を得て計画的に無理なくすすめていくための説明会となっている。

 外国籍保護者の場合、将来母国に帰る選択肢もあるため、日本の高校進学を決めかねているケースもあり、将来展望が定まらない実態がある。中学3年生になってからでは準備が間に合わない事例があるため、早い時期から情報収集をすることが大切になる。毎年繰り返し進路説明会に参加することで判断の幅を広げることができるだろう。

 大泉町で実施している進路説明会をけん引しているのは、永年にわたり日本語学級で指導し、外国籍児童生徒や保護者に寄り添ってきた指導者である。日本語学級指導者の中には、大泉の日本語学級で学び、進路を自ら切り開いてきた人もいる。自分たち世代が苦しんだことを少しでも取り除き、力を付けさせたいという思いで後進の指導に当たっている。

 現在は、学びたいという意志があれば、さまざまなところでチャンスがある。良き相談相手となる指導者やモデルとなる先輩も身近にいる。

 親子が共に正しい情報を得て、将来を見据える準備をすることで、責任ある進路選択ができると思う。



大泉町教委外国人子女教育コーディネーター 山田恵美子 埼玉県深谷市

 【略歴】大泉町指導主事の時、全国に先駆け外国人児童生徒の不就学の実態をまとめる。元大泉東・西小校長。2015年から現職。高崎女子高―大東文化大文学部卒。

2018/04/30掲載

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