アレルギーとGIA ビジネス面の支援期待
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 衣・食・住、全ての生活環境において、環境由来の健康問題が身近なものとなり、国民の2人に1人は何らかのアレルギーに罹患(りかん)していると言われるほど増えています。アレルギー罹患者やその家族にとっては、日常生活で大きな負担となっています。その一方で当事者でなければ問題に関する意識が低くなりがちです。しかし、これら健康問題の解決には周囲の理解・協力が不可欠なのです。

 とりわけ、食物アレルギーは、学校給食における小学生のアナフィラキシー死亡事例が大きな社会問題となり関心が急激に高まっています。

 食物アレルギーの罹患者数は、近年増え続けている花粉アレルギーに比べればかなり少数です。具体的には、乳児期の約10%、幼児期の約5%、学童期以降の2%程度と言われ、成人については大規模な疫学調査が実施されていないため不明とされています。また、成長するにしたがって寛解する患者の多い食物アレルギーは、成人になるほど少なくなり、当事者でなければ日常において関心を持つことは、かなり少ないでしょう。

 こと、飲食業においては、利益を確保するのみに焦点を当てれば、アレルギー食対応をせずとも、経営には何の問題も生じません。そのようなことが当たり前とされる中で、私は素晴らしい場面に立ち会うことができました。

 群馬イノベーションアワード(GIA)2017、ビジネスプラン部門高校生の部で食物アレルギー患者の飲食店探しを手助けするアプリの開発に取り組む中央中等教育学校5年の奥谷哲郎さんが最高賞の大賞に輝きました。彼自身が食物アレルギーを持ち、ご両親にも苦労を掛けたこと、日本では飲食店のアレルゲン情報の開示があまり進んでおらず、知識にも差があることを紹介し、店にアレルギーがあることを伝えると「分からないので帰ってください」と言われた自身と同じような理不尽な思いをする人をなくしたいという強い情熱から、プランを作り上げてきたと言います。

 彼がそのアプリ作成のための情報収集の場に同席する機会を得ました。食物アレルギー対応のケーキを作るパティシエへの質問は「なぜ、アレルギー罹患者でないあなたが、リスクがあるのを承知でこの商品を提供しているのか?」でした。パティシエは、「私はプロとして、対応材料で作れる知識も技術もある。兄弟と一緒にケーキを食べさせてあげたいと言うお母さんに、応えたかったし、続けているのは、その子がものすごく喜んでくれたのが忘れられないから」と答えました。

 私は、罹患者の思いだけでなく、周囲の人々の支える思い・志を持つ経営者の行動があれば、ビジネス面からも支え合う社会づくりができると強く感じました。



環境アレルギーアドバイザー支援ネットワーク群馬代表 塩田忠則 高崎市倉賀野町

 【略歴】寝具などのクリーニングを手掛ける愛幸(高崎市)の2代目社長。全国組織「環境アレルギーアドバイザー支援ネットワーク支部会」会長。流通経済大卒。

2018/05/11掲載

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