認知症サポーター 理解の輪を広げよう
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 認知症の人を抱える家族の話を以前聞いたことがあります。夜中に家の外に出て行ってしまうお母さんがいて、何度か警察の方が発見して家に連れ帰ってくれたそうです。その時のおまわりさんから「こんな状態では早く精神科病院に入れたほうが良い」と言われ、「お母さんは訳も分からず真夜中に家を出たのではない。何か理由があっての行動だったはずなのに」と、娘さんは大変なショックと悲しみを受けたと話していました。あくまでも以前の話です。

 それからしばらくして認知症サポーターキャラバンの研修を受ける機会がありました。キャラバンは認知症になっても安心して暮らせる街を目指し、認知症の人と家族への応援者である認知症サポーターを全国で養成する活動をしています。

 参加した私の隣に警察関係の方が座っていました。その方は「やはり警察としても認知症のことを理解して地域社会を守っていく必要があります」と話されました。社会の変化とともに認知症の人への理解や関わり方が良くなってきているのだなと感じる出来事でした。

 在宅で暮らす認知症の人が行く場所は郵便局や銀行、役所や病院、駅やバス停、スーパーや商店などたくさんあります。家族やヘルパーさんに付き添われて行ける人はともかく、独りで暮らす人にはご近所さんや公共の場で働いている方々など周辺地域や社会の理解と助けが必要です。

 医療や介護の関係者に限らずできるだけ多くの人たちが認知症のことを理解して関わっていただけたなら、認知症の本人や家族の抱えている不安は少しずつでも軽減するでしょう。そうすることで、社会の一員として住み慣れた場所で暮らし続けていくことができるのだと思います。

 先日近くの小学校から話をいただき、福祉の授業の一環で4年生の児童に認知症の話をしてきました。認知症と言う表現では難しいので「物忘れの病気」と呼んで話をしました。私が小学生の時にはなかったと思いますが、今は4年生になると福祉の授業があるそうです。

 物忘れの病気の話に関連して車椅子や目の不自由な人が使う白杖(はくじょう)、歩道に設置されている点字ブロックなどの説明もしたのですが、知っている子もけっこう多くいました。今までの授業の中でまとめたノートを見せてもらうと、福祉に関係する勉強に熱心に取り組んでいることが分かり、驚きました。

 本年度から小学校における道徳教育は「道徳の時間」から「特別の教科 道徳」に変わりました。より力を入れていくようです。子どもから大人までが福祉の視点や道徳性を持って認知症の人や家族に関わることで理解の輪がさらに広がっていくのではないかと考えます。



認知症トレーナー講師 柿沼博昭 桐生市相生町

 【略歴】母親の病気を契機に福祉業界へ転職。プライマリー(桐生市)の社員としてデイサービス立ち上げや認知症トレーナー育成に携わる。桐生南高卒。

2018/05/16掲載

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