冬以外のスキー場 地域資源と連携進めて
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 「冬以外スキー場は暇でしょ」とよく聞かれます。大体は年間変動労働制で夏の間に休みを多くとりながら、リフトの自社整備を行いつつ、宣伝広告などをシーズン終了直後からオープン直前まですすめていきます。

 というのは冬だけでお客さまを呼べていた頃の話。入場者8万人以上でリフト基数が少ないスキー場であれば何とかやっていけますが、それ以下のスキー場は人件費負担を考えて従業員に冬に無理をさせてしまい、人材が流出しやすくなります。

 カバーできるだけのお客さまを冬に呼び込めればいいですが、冬だけでは天候リスクが高まり事業として安定しません。スキー場だけ経営している会社が生き残るには、雇用の確保の上でも、冬以外に稼げる何かが必要になるでしょう。

 花畑やキャンプ場、展望台などその場所とリフトを生かした夏の事業を行っているスキー場は多くなってきました。ただ、冬とは関係なく夏の人件費を稼げているスキー場は少ないです。将来的に事業と事業をうまく絡み合わせるのでもなく、うまくいっているように見える他のスキー場のまねばかりして差別化できていないのが現状です。

 スキー場に来ていて、冬以外にその地域に何があるかを認識していないお客さまは多いです。以前アンケートを取った時、温泉で有名な場所なのに温泉があることすら知らないことにがくぜんとしたことがあります。お客さまにも、従業員にも「スキー」だけではなく、「スキー+α」(例えばスキー+温泉)という言葉をインプットし、スキー以外のことも体験すれば、その地域のことが好きになるのではないでしょうか?(もちろん不満足だとだめですが)。

 地域の知られていない特色を併せて体験させることで、差別化およびブランドの認知につながります。長年積み重ねてきたブランドを、自称地域コンサルタントの手によって捨て去る例は数多くあります。

 しかし、スキー場(=地域)のブランド向上には、スキー場(=地域)の10年先の未来を考え、方針を作り、プラスαを意識して、粘り強く努力していけば、仮に組織や企業がつぶれたとしても、練りこまれて定着する努力がなされた地域観光資源(=特にスキー場)はお客さまから忘れられることはないでしょう。

 スキー場は今でも雪国の主要産業であり、集客力のある観光の目玉です。衰退している業界だからという先入観を地域が捨て、スキー場も地域観光のハブのような働きに徹し、お客さまにスキー場以外の地域に興味を持たせ、体験させることができれば、地域全体の観光活性化につながり、ウィン・ウィンの関係ができ、結果的にスキー場にお客さまが戻ってくるのではないでしょうか。



一般社団法人佐渡観光交流機構専務理事 清永治慶 東京都文京区

 【略歴】サントリー勤務後、数カ所のスキー場を運営。2009年、みなかみ町ノルン水上スキー場取締役支配人。長野の第三セクターを経て18年6月から現職。慶応大卒。

2018/06/23掲載

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事